第168回国会(臨時会)
質問第一〇四号 アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達に関する再質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成十九年十二月二十七日 松野 信夫
参議院議長 江田 五月 殿 アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達に関する再質問主意書 防衛省では、我が国で開発されていない装備品等を調達するため、アメリカ合衆国政府の有償援助により装備品等及び役務の調達を実施している。この有償援助の問題点については、既に私が「アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達に関する質問主意書」(第一六八回国会質問第七一号)(以下「前回質問主意書」という。)を提出し、本年十二月十一日に答弁書を受領しているが、なお納入遅延等に関する答弁が十分ではなく、更に問題点を解明する必要があるので、再度以下のとおり質問する。 一 前回質問主意書一の3において「調達品の納入が遅延しているものについては、出荷予定時期から経過年数別(例えば一年以上二年未満、二年以上三年未満など)に、ケース数、前払金額及びそのうちの未精算額を明らかにされたい。」と質問したが、これに対する答弁は平成十八年度末についてのみの回答であり、しかも納入遅延した百五ケースに関して、「一年以上二年未満」、「二年以上三年未満」、「三年以上」という三分類での回答がなされた。しかしこれでは遅延の状況の把握ができない。そこで平成十四年度以降同十八年度まで各年度に分けて、しかも前記三分類ではなく、三年以上の遅延についても、一年刻みでそれぞれケース数、前払金額及び給付の確認がされていない装備品等の前払金額を明らかにされたい。 二 平成十四年度以降同十八年度までの五年間において、納入遅延、及び精算遅延の期間は平均でどの程度になるか、また同様に、契約締結時から出荷予定時期の期間は平均でどの程度になるか、それぞれ明らかにされたい。 三 前回質問主意書二の「有償援助での調達にかかる価格については、米国側との交渉の余地があるのか、それともその余地はなく米国側の言い値のとおりになっているか、明らかにされたい。また、政府が実際に価格交渉を行って低減した事例があるか、ある場合は、それを明らかにされたい。」との質問に対する答弁で、「米国と締結するまでに、適宜、米国に対して交渉を行い、それによって価格が減額した事例もある」としている。また、その具体的ケースとして、本年十二月二十日の参議院外交防衛委員会(以下「外交防衛委員会」という。)で、平成十四年度のイージス艦にかかわる調達を挙げている。 しかし、本来、有償援助では、契約締結時はあくまで見積りであり、正式な価格は最終的な精算をしないと判明しないはずである。したがって契約締結時に減額させたというのはあり得ないのではないかと思われる。よって、平成十四年度のイージス艦にかかわる調達において、いつの段階で、どの調達部分について、どのように価格低減がなされたのかを明らかにされたい。 四 会計検査院の平成十四年度決算検査報告では、価格の透明性を高めるため「より正確な見積りで引合書の価格が算出されるよう引合書の請求の際に依頼文を添える旨指示しているが、十分な効果は得られていない」となっている。実際にこの指摘のとおり、引合書の請求の際、すべてのケースについて依頼文を添えているか明らかにされたい。依頼文を添えている場合と添えていない場合が混在しているのであれば、平成十五年度以降、各年度における各ケース数を明らかにされたい。 五 会計検査院は平成十五年度決算検査報告において、防衛庁に対して、「合衆国政府から残余資金が発生しており、その返還等の取扱いについて指示を求める旨の通知をそれぞれ十三年一月、十四年一月、十五年一月及び十六年四月に受領していたが、最終計算書の発給後は原則として我が国に帰属すべき資金は発生しないと認識しており、残余資金に係る制度についての理解が十分でなかったことなどから、これらの通知を看過し、処理しないままとなっていた。」と厳しく指摘している。なぜ、米国からの通知を四年連続で放置していたのか、会計検査院の指摘まで全くだれも気が付かなかったということか、新精算方式を導入した当時、米国からのこうした通知に関する担当部署は本来どこであったのか、あるいはあるべきであったのか、それぞれ明らかにされたい。 また、本件については、外交防衛委員会において、改めて調査する旨発言しているが、だれがいつまでに何をどのように調査するのか、明らかにされたい。 六 平成十七年三月から連邦準備制度銀行内に利子付き口座を開設したとしているが、利子が付くのは未精算額全額か、全額でない場合はどの範囲の分について利子が付されているかそれぞれ明らかにされたい。 また、実際に利子付き口座の開設交渉は具体的にはいつから米国と交渉をするようになったか、開設までに相当の期間を要したようであり、国内法上の問題があったようであるが、それはどういうことなのか、どのように解決されたのか明らかにされたい。 七 精算方式について、米国は平成四年に新精算方式を導入している。これによって調達品の給付完了後二年以内にケースを一応精算することになっている。これによれば早めに余剰金が戻ってくることになり我が国にとって有利になるが、日本が新精算方式に参加したのは平成九年七月である。五年も参加が遅れた理由は何か、具体的に明らかにされたい。 右質問する。 |