質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七五号

「道路の中期計画(素案)」とその積算根拠に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十二月五日

尾立 源幸   


       参議院議長 江田 五月 殿



   「道路の中期計画(素案)」とその積算根拠に関する質問主意書

 国土交通省は十一月十三日、平成二十年度を初年度とする十年間の道路事業について定める「道路の中期計画(素案)」を発表した。その中で、①国際競争力の確保、②地域の自立と活力の強化、③安心安全の確保、④環境の保全と豊かな生活環境の創造、の四つの政策課題の重点方針に基づき、目標を達成するために必要な事業量として六十五兆円を計上し、この他に道路関連施策として三兆円以上を想定している。
 合計六十八兆円以上の道路事業費が必要と試算されているが、その根拠は必ずしも明らかではない。道路整備に関する政策議論を行うためには、試算の根拠を理解することが不可欠であるとの観点から、以下質問する。

一 「道路の中期計画(素案)」では中期計画の事業量六十五兆円の内訳として、国際競争力の確保に二十四兆円、地域の自立と活力の強化に三十三兆円、安全・安心の確保に十九兆円、環境の保全と豊かな生活環境の創造に三十一兆円を計上している(重複含む)。これらはどのような計算に基づいて積算されたのか明らかにされたい。

二 「道路の中期計画(素案)」の中で「六十五兆円」及び「三兆円以上」の積算根拠を明らかにしなかった理由を示されたい。

三 「道路の中期計画(素案)」には「国際競争力の確保」のために、重点方針として、高規格幹線道路(全体構想約一万四千キロメートル)を始めとした基幹ネットワークのうち、①県庁所在地など主要都市間で、規格の高い道路で連絡されていない区間、②大都市の環状道路のうち、未だ整備されていない区間、③物流活動など中核となる拠点的な空港・港湾へのアクセスが不十分な区間、④既に供用している国際物流基幹ネットワークにおいて、国際標準コンテナ車の通行の障害となる区間、について重点的に整備を促進すると書かれている。
 これら四種類の区間がそれぞれどの程度の距離があるのか、また、整備にそれぞれどの程度の費用がかかると想定しているのか、その積算根拠(一区間若しくは一キロメートル当たりの整備費用)とともに明らかにされたい。

四 「道路の中期計画(素案)」には「地域の自立と活力の強化」のために、重点方針として、①生活幹線道路の移動支障区間(約五千区間、約一万三千キロメートル)、②日常的に混雑が発生している箇所(約九千万箇所)のうち特に事業効果が高い三分の一程度の箇所(約三千箇所)、③開かずの踏切(約六百箇所)と交通が集中する踏切(約八百箇所)の約千四百箇所、について重点的に整備を促進すると書かれている。
 これら三種類の区間等の整備にそれぞれどの程度の費用がかかると想定しているのか、その積算根拠(一区間若しくは一キロメートル、一箇所当たりの整備費用)とともに明らかにされたい。

五 「道路の中期計画(素案)」には「安全・安心の確保」のために、重点方針として①落橋・倒壊のおそれのある橋梁(約二千橋)に加え、特に広域応援部隊等の移動のための県庁所在地間を結ぶ道路に存在する橋梁(約八千橋)、②落石や土砂崩れ、地すべり、雪崩等のおそれのある区間(約一万七千区間、約五万キロメートル)のうち公共施設や病院などを相互に結ぶ生活幹線道路で通行止めにより生活に大きな影響を与える区間(約六千区間、約一万八千キロメートル)、③防災上の懸念がある市街地(約千五百平方キロメートル)のうち大規模な延焼の可能性があり、特に防災上危険な地域(約百五十平方キロメートル)、④事故の発生割合の高い区間(約十五万区間)のうち特に効果の高い四分の一程度の区間(約四万区間)、⑤全国の通学路(約十九万キロメートル)のうち多くの児童が利用するなど、事故の危険性が高い通学路(約十一万キロメートル)、⑥安全上課題のある踏切(約千九百箇所)、⑦全国の道路橋(約十五万橋)に対する定期的な点検、について重点的に整備を促進すると書かれている。
 これら七種類の橋、区間等の整備にそれぞれどの程度の費用がかかると想定しているのか、その積算根拠(一区間若しくは一キロメートル、一箇所、一橋等当たりの整備費用)とともに明らかにされたい。

六 「道路の中期計画(素案)」には「環境の保全と豊かな生活環境の創造」のために、重点方針として①地球温暖化を防ぐため、自動車からの二酸化炭素の排出量を減らすことや、排出された二酸化炭素を吸収する樹木を増やすための対策等を実施、②全国の自動車排出ガス測定局(約四百四十箇所)のうち環境基準非達成の箇所(約三十箇所)に対して、大気質対策を実施、③夜間の騒音要請限度を達成していない地域(約二千七百キロメートル)に対して集中的に騒音対策を実施、④全国の市街地等の道路(約三十万キロメートル)及び駅前広場(約二千九百箇所)のうち駅、官公庁施設、病院等を相互に連絡する道路(約八千八百キロメートル)及び駅前広場(約千七百箇所)のバリアフリー化、⑤全国の市街地や日本風景街道等の道路(約三十三万キロメートル)のうち安全で快適な道路空間を形成する上で、電柱や電線類が特に支障となる道路(約七千六百キロメートル)の無電柱化、について重点的に整備を促進すると書かれている。
 これら五種類の区間等の整備にそれぞれどの程度の費用がかかると想定しているのか、その積算根拠(一区間若しくは一キロメートル、一箇所等当たりの整備費用)とともに明らかにされたい。

七 「道路の中期計画(素案)」には既存高速ネットワークの効率的な活用・機能強化を含め道路関連施策として三兆円以上を想定している。道路関連施策とは、どのような事業をどの程度行うのか、それぞれの事業にかかる費用とその積算根拠を明らかにされたい。

  右質問する。