質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七一号

アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十二月三日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達に関する質問主意書

 防衛省では、我が国で開発されていない装備品等を調達するため、アメリカ合衆国政府の有償援助により装備品等及び役務の調達を実施している。この有償援助は、我が国が米国側に代金を前払いした後に納入が始まり、納入が完了した後に精算をして価格を確定させることになっているが、実際には我が国が代金を支払ったのに精算が完了していない場合や長年にわたって現物が納入されていないケースも多数かつ多額に及んでいる。会計検査院も平成九年度、平成十四年度及び平成十五年度決算検査報告において、防衛庁(現在の防衛省。以下同じ。)の問題点を厳しく指摘して改善を求めている。しかし、どこまで改善が進んでいるのか不透明な部分が多い。
 こうした有償援助については、我が国の負担を少しでも軽減することが必要であり、政府がどのような方策でその軽減を図ってきたかを確認する必要がある。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 会計検査院の平成九年度決算検査報告では、「(昭和)五十四年度から平成九年度までの間に支払った前払金の総額一兆四千六百五十一億余円に対する九年度末現在の未精算額は、三千三百四十五億余円の多額に上っている。」としている。この場合、未精算額とは前払金の総額から精算済額(納付確認額プラス余剰金返済額)を控除したものとして扱われている。

1 昭和五十四年度から平成十八年度まで、年度ごとに支払った前払金の額、及び各年度末現在の未精算額を明らかにされたい。
2 各年度において、未精算の内訳を、出荷予定時期が経過したものとそうでないものとに区分し、前者については、調達品の納入が遅延しているものと調達品の納入がされたのに精算が遅延しているものとに区分して、それぞれのケース数と金額を明らかにされたい。
3 前記のうち、調達品の納入が遅延しているものについては、出荷予定時期から経過年数別(例えば一年以上二年未満、二年以上三年未満など)に、ケース数、前払金額及びそのうちの未精算額を明らかにされたい。

二 有償援助での調達にかかる価格については、米国側との交渉の余地があるのか、それともその余地はなく米国側の言い値のとおりになっているか、明らかにされたい。また、政府が実際に価格交渉を行って低減した事例があるか、ある場合は、それを明らかにされたい。

三 米国側からの納入が予定時期より遅延した場合には、これまでどのような措置を講じてきたか、督促は行っていたか、遅延が一定期間を経過すると必ず督促するような制度になっているか、また督促をしたにもかかわらず米国側から納入がなお遅延した場合に、契約の解除及び損害賠償の請求をしたことがあるか、あった場合、いつどのような場合であったか、それぞれ明らかにされたい。

四 未精算のまま五年以上も放置され、結局、納入がなされないままになっているケースがあるか。この場合、我が国が支払った代金はどのように処理されたか、それぞれ明らかにされたい。

五 これまで有償援助で納入された調達品は、すべて我が国が米国政府からしか調達できないものか、それとも一部は民間からも納入が可能なものか明らかにされたい。仮に民間からも納入が可能な物品がある場合は、どのようなものがあるか明らかにされたい。また、その場合、競争入札が可能か否かについても明らかにされたい。

六 未精算金は、米国側に資金が滞留していることになり、近時、これについては米国側で利息を付するように制度が改められたと聞いているが、いつからこうした合意ができたか、また、いつからどの程度の利息の付与が実施されているか、現時点での未精算金額及び利息の付与額をそれぞれ明らかにされたい。
 こうした未精算金及び利息を我が国が引き取り、歳入として国庫に収納することは可能か、また、こうした処理を行ったことがあるか、明らかにされたい。

七 会計検査院の平成十五年度決算検査報告において、防衛庁では、「合衆国政府から残余資金が発生しており、その返還等の取扱いについて指示を求める旨の通知をそれぞれ十三年一月、十四年一月、十五年一月及び十六年四月に受領していたが、最終計算書の発給後は原則として我が国に帰属すべき資金は発生しないと認識しており、残余資金に係る制度についての理解が十分でなかったことなどから、これらの通知を看過し、処理しないままとなっていた。」と厳しく指摘されている。これはこの指摘のとおりか、また、現在ではどのように改善が図られているか、それぞれ明らかにされたい。

  右質問する。