質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五一号

独占禁止法の改正等の基本的考え方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十一月八日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   独占禁止法の改正等の基本的考え方に関する質問主意書

 本年十月十六日に、公正取引委員会から公表された「独占禁止法の改正等の基本的考え方」(以下「考え方」という。)について、以下質問する。

一 課徴金の対象範囲の拡大については、考え方1(1)「新規参入排除行為・公正な競争秩序に悪影響を与える行為等に対する課徴金の新設」として、「他の事業者の事業活動を排除すること(例えば、コストを度外視した価格設定)による私的独占に該当する行為を行った事業者に対する課徴金を導入する。不公正な取引方法のうち、一定の不当表示や一定の優越的地位の濫用を行った事業者に対する課徴金を導入する。」と記載されているが、他の事業者の事業活動を排除する私的独占に至る前でも、企業体力に劣る中小企業は早期に市場から撤退に追い込まれるので、このような状況に追い込まれる前にも課徴金を科することを検討すべきではないか。政府の認識を示されたい。また、優越的地位の濫用、不当廉売、差別的対価についても課徴金の対象とすべきと考えるが政府の認識を示されたい。

二 審議制度の在り方については、考え方2(2)「審判手続の公正さ及び透明性の確保」として、「審判官の合議体には、法曹資格者を含むものとする。審判官作成の審決案と実質的に異なる審決を行うときには、その理由を審決に記載する旨明確にする。被審人と利害関係を有する者などを当該事件の審判官指定から除外する旨等を明確にする。」と記載されている。
 しかし、①課徴金が引き上げられ、刑罰的要素が強まる中、処分の公平性をチェックするためには、同じ組織内での不服審判ではなく裁判所の判断にゆだねることが適切ではないか。②現在のように、公正取引委員会内で不服審判を行うことは、公正取引委員会の審判結果を公正取引委員会で不服審判することとなり、処分権者と審判権者が同一なため、中立性・公平性を欠いており問題ではないか。③不服審判についてはガイドラインが明確化されており、技術的判断の余地はないことから、裁判所の判断にゆだねても問題はなく、現在、不服審判は年間二十件以下であることからも、十分に裁判所で対応できると考える。
 前記の①から③を踏まえ、また諸外国には公正取引委員会が不服審判を行っている国はないことから、国際的な制度の調和という観点からも、公正取引委員会が不服審判を行うことはやめるべきだと考えるが、政府の認識を示されたい。

  右質問する。