質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四九号

難民認定制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十一月七日

福島 みずほ   


       参議院議長 江田 五月 殿



   難民認定制度に関する質問主意書

 二〇〇五年五月より改正出入国管理及び難民認定法が施行され、新たな難民認定制度が始まった。この改正案議決にあたり、衆議院、参議院はそれぞれの法務委員会において、附帯決議を付し、手続の「適正性」、「迅速性」、「客観性」、「透明性」を確保、参与員の人選に当たって「専門性」を確保し、また民間の難民支援団体からの推薦者を含め適任者を選出するよう難民調査当局に対し要請している。
 そこで、難民保護という最も重要な国際貢献に寄与する観点から、以下のとおり質問する。

一 難民認定実務の実績について

 近年の難民認定申請事案は、申請者の多国籍化、申請件数の増加が顕著になっており、また申請が提出される日本国内の地域も多様化しており、難民認定の実績を明らかにする必要がある。
1 二〇〇二年から二〇〇六年までの難民申請件数と難民認定件数を示されたい。
2 本年十月一日時点で、難民申請中の人数、異議申立て継続中の人数、同日時点での収容の有無、申請年ごとの内訳及び国籍の内訳をそれぞれ示されたい。また、このうち二〇〇五年十月以前の難民認定申請者については、申請が継続している理由を明らかにされたい。
3 二〇〇六年に異議申立ての結果が出た審査件数と、難民認定申請を行ってからの平均審査期間を示されたい。このうち、認定、不認定別、収容者、被収容者別の平均審査期間についても明らかにされたい。
4 二〇〇六年に仮滞在を許可した人数と、不許可の人数及びその平均審査期間を示されたい。
5 二〇〇六年の我が国の国際空港における難民認定申請の件数を示されたい。このうち、仮滞在を許可した人数と、不許可の人数及び仮滞在不許可の場合はその理由別の人数を明らかにされたい。
6 二〇〇六年の難民認定申請に際し、難民認定申請書が日本語以外の言葉で書かれていた言語別の件数を示されたい。このうち、入国管理局として翻訳を提供した言語別の件数を示されたい。

二 収容について

 難民申請者は難民条約において「難民認定申請中から保護が及ぶ」対象であるとうたわれており、現在入国管理局が行っている収容は、難民条約に反していると考えられる。
1 現在入国管理局が行っている収容について、政府の見解を明らかにされたい。
2 本年十月一日時点において出入国管理局収容施設に収容されている難民認定申請者の人数(異議申立て中の者、難民認定不認定処分の取消しを求める司法手続が継続中の者をそれぞれ含む)を示されたい。このうち、収容期間が半年未満、半年以上一年未満、一年以上一年半未満、一年半以上二年未満、二年以上別の内訳と、また二年以上収容されている場合は、その具体的な期間及び国籍別の人数を示されたい。

三 ビルマ国籍の難民申請者について

1 本年九月五日から十月四日までの間のビルマ国籍の難民認定申請数及び異議申立てに対する結果の内訳を示されたい。このうち退去強制令書が発付された件数と、その後出入国管理局収容施設に収容された人数も明らかにされたい。
2 二〇〇六年の一年間で、ビルマ国籍の難民申請者(異議申立て中の者も含む)に対して不認定処分の後、退去強制令書が発付された人数を示されたい。このうち、実際に執行されて退去した人数と、退去強制令書を執行されていない人数及びその理由を明らかにされたい。

四 難民審査参与員について

 本年五月より難民審査参与員が新任及び再任されているが、二〇〇四年入管法改正時の衆議院及び参議院法務委員会の附帯決議においては、「六 難民審査参与員の人選に当たっては、専門性を十分確保する観点から、日本弁護士連合会、国連難民高等弁務官事務所及びNGO等の民間の難民支援団体からの推薦者を含め適任者を選出するよう留意すること。」とされている。この附帯決議に対する政府の取組姿勢に関して、その見解を明らかにするとともに、国連難民高等弁務官事務所から難民審査参与員に推薦された人数と、難民審査参与員へ採用された人数を示されたい。

五 警察署内での難民認定申請

 警察署内で難民認定申請を行うことは可能であるか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。