質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三〇号

厚生年金病院の整理合理化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十月二十三日

足立 信也   


       参議院議長 江田 五月 殿



   厚生年金病院の整理合理化に関する質問主意書

 年金福祉施設等を譲渡・廃止するという方針に従い独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法が制定され、厚生労働大臣が定めた施設は社会保険庁から同機構へ出資され、同機構が譲渡・廃止の業務を行うこととなった。厚生労働大臣は対象施設に関する整理合理化計画を策定した後、正式な手続をとって対象施設を定め、その後、同機構へ出資することとされた。厚生年金病院に関しては「年金・健康保険福祉施設(病院は除く)に係る整理合理化計画(平成十七年三月三十一日公表)」において、「厚生年金病院に係る整理合理化計画は、別途、平成十七年度に定める」と定められた。しかし、現在に至っても厚生年金病院の整理合理化計画は策定されておらず、同機構への出資すら行われていないため、いまだ譲渡・廃止に関する検討の俎上には載っていない。このように、厚生年金病院の整理合理化に関しては、今後「大臣による計画の策定」及び「同機構による譲渡・廃止業務」という二つのプロセスが必要であるが、法に定められたこれらのプロセスを無視した形で、密かに譲渡計画が進められているという疑念がある。
 本年九月一日に厚生年金事業振興団が主催した厚生年金医療フォーラムにおいて、鴨下一郎環境大臣の代理として出席した武見敬三前厚生労働副大臣から、厚生年金病院はある特定の企業グループが設立する法人に譲渡される予定であり、既にその法人の設立準備のための事務所も開設され作業が進められている旨の発言があったとされている。
 そこで、以下質問する。

一 武見前厚生労働副大臣が鴨下環境大臣の代理として発言したとされる、特定の企業グループへ譲渡する計画が具体化しているという話は事実か、明らかにされたい。

二 武見前厚生労働副大臣の発言が事実であるとすれば、法に定められたプロセスを全く踏むことなく水面下で恣意的に国有財産の処分が決められたこととなり、国民の信頼に背くばかりか大きく法を逸脱した行為と言わざるを得ないが、政府の認識を明らかにされたい。

三 このような疑念を招く行為に、現職の閣僚である鴨下環境大臣や直前まで担当副大臣を務めてきた武見前厚生労働副大臣が深くかかわっていることは、政府の信頼を大きく損ねることになる。政府として注意すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 武見前厚生労働副大臣の発言後、この計画が既成事実化して関係者に広く伝わったため、譲渡計画に携わっていた地方自治体関係者や病院関係者等に大きな影響を与えている。もし、武見前厚生労働副大臣の発言が事実でないとすれば、政府はすぐに否定する見解を発表すべきであるが、それを行う意思はあるか、明らかにされたい。

五 当該フォーラムを主催した厚生年金事業振興団は厚生年金病院の経営主体であり、大量の公務員の天下りを受け入れている。また、廃止される予定の組織であり、法令上、厚生年金病院の整理合理化に対しては何の役割・権限も有していない。にもかかわらず、水面下で積極的に厚生年金病院の譲渡計画にかかわっていることは、立場を超えた行為であり、国民の深い疑念を招かざるを得ない。このような行為を慎むよう指導すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

六 厚生年金病院の整理合理化計画策定の進捗状況及び今後の予定を示されたい。

  右質問する。