質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二九号

株式会社ゆうちょ銀行の定額貯金に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十月二十三日

大久保 勉   


       参議院議長 江田 五月 殿



   株式会社ゆうちょ銀行の定額貯金に関する質問主意書

 本年十月の郵政民営・分社化によって、株式会社ゆうちょ銀行(以下「ゆうちょ銀」という。)は既存の民間金融機関と同一の競争条件下に置かれることとなった。これにより、金融監督政策においても、ゆうちょ銀を民間金融機関と同一の平面で見るべきである。
 ゆうちょ銀は、総資産が世界一であるなど、金融機関として極めて大きな規模を持つことから、我が国の金融決済システムに与える影響も重大であり、金融監督政策においても、これに比例して重要な位置を占めるべきである。そのゆうちょ銀の取扱う商品群において、特に定額貯金が持つ特殊性と規模の大きさに着目すれば、それにはとりわけ高い金融監督政策上の関心が払われるべきと考える。
 よって、ゆうちょ銀の定額貯金に関して、以下の質問をする。

一 定額貯金における既存契約の残高、平均金利、デュレーション及び解約率を政府は把握しているか。把握しているのであれば、明らかにされたい。また、試算根拠とする金利を明らかにするとともに、①それが〇・一パーセント上昇した場合、②一パーセント上昇した場合、③二パーセント上昇した場合の、残高、平均金利、デュレーション及び解約率の見通しについて、それぞれ政府の見解を明らかにされたい。

二 郵政民営・分社化によって郵便局株式会社が独立採算になることによって、金利上昇時に定額預金の解約スピードが増加することによる、ゆうちょ銀のALM上のリスク(いわゆる定額預金のネガティブ・コンベキシティに関連するリスク)が高まったという指摘がある。これに対する政府の認識とその対応策を明らかにされたい。

三 国際決済銀行の「自己資本の測定と基準に関する国際的統一化・改定された枠組」におけるアウトライヤー規制において、ゆうちょ銀はどのような扱いを受けるか、政府の見解を明らかにされたい。これに関して、ゆうちょ銀は、定額貯金によって調達した資金(旧郵政公社からの継承分を含む)のほとんどを長期国債で運用しているが、これはALM上のリスクを内在しているといえる。このような運用形態には、金利上昇時において定額預金が大量に解約される可能性が潜在しているが、それが顕在化した場合には、ゆうちょ銀は国債を大量に売却することとなり、国債市場、国内資金市場等へ甚大な影響をもたらすと考えられる。このようなALMリスク及び金融市場への影響について、金融庁、日本銀行、預金保険機構等の管理、監督体制を政府としてどのように承知しているか、それぞれ明らかにされたい。

  右質問する。