質問主意書

第168回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四号

テロ特措法の運用及び目的に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十月一日

白 眞勲   


       参議院議長 江田 五月 殿



   テロ特措法の運用及び目的に関する再質問主意書

 私は、テロ特措法の運用及び目的に関する質問に対する答弁書(内閣参質一六八第一号)(以下「さきの答弁書」という。)を本年九月十八日に受領したところであるが、答弁の中には不透明あるいは不可解な部分が幾つかある。ついては、さきの答弁書を踏まえ、再度以下のとおり質問する。
 なお、答弁に際しては、質問をくくって答えることなく、各質問に対して個別に答弁されたい。また、本質問主意書で使用する用語が不明確等の理由で答弁を控えることなく、常識の範囲内で一定の前提を置いた上で答弁されたい。

一 先日私が提出した質問主意書の二の6「七百回目の艦艇用燃料の補給は、どの艦艇に行ったのか。具体的な艦名と所属国を示されたい。」との問い及び三の1「米海軍第五艦隊のウェブサイトには、昨年十一月二十七日に、我が国の補給艦『ましゅう』のドイツのフリゲート艦『シュレスヴィヒ・ホルシュタイン』に対する給油が行われたとあるが、この補給はテロ特措法に基づくものか明らかにされたい。」との問いに対し、おおむね「特定の補給に係る対象艦船の名称及びその所属国については、これを明らかにした場合、当該国との信頼関係を損なうおそれがあることから、答弁を差し控えたい。」とあるが、米海軍第五艦隊のウェブサイトにおいて七百回目の補給がドイツ海軍のフリゲート艦シュレスヴィヒ・ホルシュタイン号に行われ、これが「不朽の自由」作戦の枠内で行われたことが明記されている。

1 例えば、六百回目の補給は米軍艦船のディケーターに対して行われたが、これについても同様の理由で答弁できないということか明らかにされたい。
2 アラビア海において、我が国の補給艦ときわからディケーターへの補給が行われたことは既に米軍のウェブサイトに掲載されているが、米政府の一部を成す米軍が公開している情報を日本が公開することは、いかなる意味において「当該国との信頼関係を損なうおそれがある」のか明らかにされたい。
3 ある情報を既に公開している国に対し、我が国が同じ情報を公開した場合に損なわれるおそれのある信頼関係とは何か。具体的に答弁されたい。既に公開されている情報を、我が国が公開することで信頼関係が損なわれるおそれがあるというのは、我が国側の一方的な思い込み、あるいは情報隠しのための言い訳にすぎず、そのおそれは実体がないのではないか、政府の見解を示されたい。
4 我が国が既に公開している情報について、他国からそのような情報を公開することは「信頼関係を損なうおそれがある」との指摘又は抗議等があったことは過去にあるか明らかにされたい。
5 さきの答弁書二の6「特定の補給に係る対象艦船の名称及びその所属国については、これを明らかにした場合、当該国との信頼関係を損なうおそれがあることから、答弁を差し控えたい。」としている六百隻目、七百隻目の補給についての内容が、所属国の艦隊の公式ウェブサイトに詳細に明記されている場合、我が国は当該国に対し信頼関係を損なうおそれがあると指摘又は抗議等を行っているのか、あるいは今後行う必要があるのか。もしないのであればその理由はいかなるものであるか、それぞれ明らかにされたい。

二 先日私が提出した質問主意書の一の3「輸送艦又は補給艦への補給を行っている場合、更にどのような種類の艦船への補給がなされているのか」という問いに対し、「我が国がテロ対策特措法に基づく協力支援活動として補給を行った諸外国の軍隊等の艦船がその補給を受けた後に従事する活動の内容は、我が国がテロ対策特措法に基づいて補給を行った趣旨を踏まえて各国が決定するものであり、政府としてはその詳細を承知する立場にない」との答弁があった。

1 この答弁は「諸外国の軍隊等の艦船がその補給を受けた後に従事する活動の内容」の詳細については、政府は情報を有していないという理解でよいか。それとも情報は有しているが、答弁できないということか明らかにされたい。
2 詳細を承知していないということは、概要は承知しているということか。その場合、諸外国の軍隊等の艦船が補給を受けた後に従事する活動の概要について、政府の承知している範囲で明らかにされたい。
3 仮に詳細について情報を有していない場合、多額の税金を投じているにもかかわらず、我が国は諸外国の軍隊等の艦船が補給を受けた後に従事する活動について十分な情報提供を受けていないことになるが、それを問題だとは考えていないか、政府の見解を示されたい。

三 さきの答弁書の「一の3について」において、「我が国がテロ対策特措法に基づく協力支援活動として行う補給は、テロ対策特措法に基づくものであることを当該補給の対象国との間の交換公文に明記する」との答弁があった。

1 この交換公文は対象国との関係で拘束力を有する文書か。仮にこの交換公文に反するような行為を対象国がとった場合、何らかの国際法上の対抗措置等の対象になるか明らかにされたい。
2 この交換公文においては補給がテロ特措法に基づくものであることは規定されているが、受けた補給をテロ特措法の目的に基づいて使用することを当該補給の対象国に義務付ける規定はあるか。ある場合、一例として米国との交換公文においてどの部分が該当するか明らかにされたい。

四 先日私が提出した質問主意書の二の1の(四)「イラクにおいて前記目的で述べるところの国際的テロリズムが現在行われていると考えているか」との問いに対し、「現在イラクで行われているテロリズムが御指摘の国際的なテロリズムに当たるか否かについては個別具体的な状況によるものであり、一概にお答えすることは困難である。」との答弁があったが、現在、イラクにおいて行われているテロリズムの中に、テロ特措法に規定するような国際的テロリズムに該当するものはあるか。ある場合、具体例を示されたい。

五 テロ特措法が失効し、同法に代わって海上自衛隊に現在の活動を継続することを授権する法律が成立しない場合、現在、同法に基づいて活動している海上自衛隊の部隊は活動地域を離れ、帰国するのか明らかにされたい。

  右質問する。