質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第七四号

内閣参質一六六第七四号
  平成十九年七月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員紙智子君提出ミートホープ社による食肉偽装問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出ミートホープ社による食肉偽装問題に関する質問に対する答弁書

一について

 今回の事案については、農林水産省の調査によれば、警察からミートホープ株式会社(以下「ミートホープ社」という。)に関し照会があったことから、同省の判断により、警察による調査に支障を生じないよう、ミートホープ社に対し、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号。以下「JAS法」という。)に基づく立入検査を行わなかったとのことである。

二について

 ミートホープ社を道域業者と判断したことにより、提供されたミートホープ社に関する情報をまとめた食品表示一一〇番カードを作成し、それを北海道へ回付するという対応としたため、更なる検査等は行わなかったところである。

三について

 これまでも食品表示の適正化を図るため、独立行政法人農林水産消費安全技術センター(以下「センター」という。)において、食肉を原料に使用する加工食品について、エライザ法(特定たん白質の抗原抗体反応を利用した分析法)により肉種の鑑別をするための科学的な検査を行っており、その結果を農林水産省に提供し、同省において表示の監視事務に活用してきたところである。
 今般の事案を契機として、牛挽肉加工品の原料肉の真正性について消費者の関心が高まっていることを踏まえ、従来検査対象としてきた比較的食肉の使用割合の高いハンバーグ、ミートボール等に加え、コロッケ等、食肉の使用割合の低いものも含めた牛挽肉加工品を重点対象として、PCR法(特定のDNA断片を増幅させ分析する方法)を用いた調査を、本年六月二十六日から一か月間、緊急に実施しているところである。

四について

 食品の検査等の業務は、国が自ら主体となって直接に実施する必要はないものの、公共上の見地から確実に実施されることが必要なものであることから、独立行政法人たるセンターにおいて実施してきているところである。今後とも引き続き、独立行政法人として当該業務を実施していくことが適当であると考えている。

五について

 お尋ねの調査は、いずれも、今般の事案を契機として、牛挽肉加工品の原料肉の真正性や農林水産省に寄せられた食品表示一一〇番情報への対応について、消費者の関心が高まっていることを踏まえ、約一か月間、緊急に実施しているものであり、中間報告を行う考えはない。

六について

 食品の業者間取引について、JAS法に基づく品質表示義務の適用の可能性を含め、表示の在り方を幅広く検討することとしているところである。

七について

 北海道の調査によれば、ミートホープ社に係る北海道苫小牧保健所又は北海道保健福祉部食品衛生課への通報については、平成十八年八月から十二月までにかけて九回あったとされている。また、北海道からは、北海道保健福祉部食品衛生課には、平成十四年三月に匿名の投書が一回あったと聞いている。
 北海道の調査によれば、これらの通報等に対応して、北海道苫小牧保健所が平成十四年三月から平成十八年十二月までにかけて七回立入調査を実施しており、これらのうち、平成十八年十二月十三日及び二十一日の立入調査については、事前通告を行っていないとされている。
 いずれにしても、御指摘のような情報提供に基づいて食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第二十八条第一項に基づく保健所職員の営業の場所等への臨検又は営業の施設等の検査を行う場合には、必要に応じて事前通告をすることなく施設に立ち入るなど、立入調査の適正性を確保できる方法を採用することが重要であると考える。

八について

 御指摘の事実については、北海道からは、ミートホープ社から取引相手の注文で混入しているとの説明を受け、特段の問題がないものと判断し、関係部局には連絡しなかったと聞いているところである。

九について

 御指摘の「苫小牧保健所に対する二〇〇二年三月から二〇〇六年十二月までの四回にわたるミートホープ社に対する情報提供」が何を指すのかについては不明であるが、北海道の調査によれば、七についてにおいて述べた通報のうち、平成十八年八月二十三日及び十二月四日の通報の内容については、農林水産省に情報提供がなされ、それ以外の七件の通報の内容については同省に情報提供がなされなかったとされている。また、北海道からは、平成十四年三月の匿名の投書についての同省への連絡がなされたか否かについては不明であると聞いている。
 北海道からは、同省に情報提供がなされなかった七件の通報のうち、六件については、その内容が食品衛生法に関するものであったため、また、一件については、その内容が既に同省に情報提供した通報の内容と同様の事例のものであったため、同省に連絡しなかったと聞いている。

十について

 御指摘の点については、関係行政機関が必要に応じて連携していくことが重要であると考える。