質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第七○号

内閣参質一六六第七○号
  平成十九年七月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員岡崎トミ子君提出朝鮮・韓国人軍人・軍属の遺骨問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員岡崎トミ子君提出朝鮮・韓国人軍人・軍属の遺骨問題に関する質問に対する答弁書

一の1について

 現在、祐天寺には、千百三十五柱の朝鮮半島出身者の遺骨が保管されており、そのうち軍人は三百七十七柱、軍属は六百九十八柱、軍人又は軍属の別が不明の遺骨は十柱であり、御指摘の「旧民間徴用者」の遺骨は含まれていない。また、本籍地が現在の大韓民国(以下「韓国」という。)内にある者の遺骨は七百四柱、本籍地が現在の北朝鮮内にある者の遺骨は四百三十一柱である。
 祐天寺に保管されている遺骨の遺族については、今後の韓国政府との協議において確認されるものであり、現時点では遺族が判明している遺骨の数をお答えすることは困難である。

一の2の(一)、(二)及び(四)について

 御指摘の「遺骨名簿に名前がある七人が生還していた」ことに関する事実関係については、日本政府として確認するに至っていない。また、本件に関する韓国政府との外交上のやりとりの詳細について明らかにすることは、韓国との関係もあり、差し控えたい。

一の2の(三)について

 現時点では、祐天寺に保管されている遺骨の遺族を確認することができていないため、現時点で御指摘のような説明を行うことはできない。

一の3の(一)について

 いわゆる浮島丸訴訟については、平成十三年一月に国がいわゆる浮島丸事件に係る遺骨の返還請求を認諾したこと及び原告が国の謝罪がない上での遺骨の受取を拒否する立場をとったという事実はある。

一の3の(二)について

 厚生労働省において調査した限りでは、現時点では、御指摘の事実関係の有無については確認されていない。

一の3の(三)について

 祐天寺に保管されている遺骨の返還については、現在韓国政府と協議中であり、本件に関する韓国政府との外交上のやりとりの詳細について明らかにすることは、韓国との関係もあり、差し控えたい。

一の4の(一)から(四)までについて

 祐天寺に保管されている遺骨の返還については、現在韓国政府と協議中であり、お尋ねのような慰霊祭の実施方法等についても、今後の協議において決定してまいりたい。

一の5の(一)及び(二)について

 厚生労働省においては、韓国政府の要請に応じ、平成五年に、御指摘の「留守名簿(陸軍)」及び「海軍軍属身上調査票」を含む朝鮮半島出身の軍人軍属の人事関係資料について、その写し等を韓国政府に引き渡したところであり、どのような形で遺族の要望に対応するかについては、韓国政府が取り組むべきものと考える。

一の5の(三)について

 現在、祐天寺に保管されている遺骨について、その保管経緯の概要については把握しているが、保管経緯を遺骨ごとに作成した記録は存在しない。

一の6の(一)について

 朝鮮半島出身の旧軍人・軍属等の遺族に対する金銭の支払等の問題については、韓国との間では、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和四十年条約第二十七号)第二条1において「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が・・・完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認」している。

一の6の(二)について

 厚生労働省としては、お尋ねのような事実は無いものと承知している。

一の7について

 朝鮮半島出身の旧軍人・軍属の供託金額の確認については、現在韓国政府と協議中であり、政府として、韓国政府の要請も踏まえて対応を検討しているところである。

二の1について

 政府としては、終戦直後までは朝鮮半島出身の戦没者の遺族に対し、死亡の通知を行っていた。その後、GHQ指令により個別に通知を行うことが困難な事態となったため、当該通知事務は廃止されたが、韓国政府の要請に基づき、昭和四十六年九月に「死亡者連名簿」を同政府に送付したところである。また、従来より、遺族からの戦没者に関する照会に対して回答する事務を行ってきており、今後も引き続き実施することとしている。

二の2について

 これまで海外で収集した遺骨のうち、朝鮮半島出身者又は台湾出身者として身元の特定された遺骨については、遺族に対して順次返還を行ってきている。また、身元が特定できず遺族に引き渡すことのできなかった遺骨は、千鳥ヶ淵戦没者墓苑に納骨している。

二の3について

 千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、政府において収集する戦没者の遺骨であって、氏名及び出身地等が判明しないため、遺族に引き渡すことのできないものを納めているものである。

二の4の(一)について

 本件に関する韓国との外交上のやりとりの詳細について明らかにすることは、韓国との関係もあり、差し控えたい。

二の4の(二)について

 千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、「無名戦没者の墓」に関する件(昭和二十八年十二月十一日閣議決定)に基づき、氏名及び出身地等が判明しないため、遺族に引き渡すことができない戦没者の遺骨を納めることを目的として建立されたものである。千鳥ヶ淵戦没者墓苑に御指摘の慰霊碑を建立することは、当該目的とは異なるものであり、困難と考えている。