質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第六八号

内閣参質一六六第六八号
  平成十九年七月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員山本孝史君提出社会保険庁における年金保険料の記録・保管に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本孝史君提出社会保険庁における年金保険料の記録・保管に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘のように、早期に年金記録の通知を行うなどの方法により、被保険者に年金記録の確認を求めることは、正確な年金記録の管理のために極めて重要と考える。その意味において、従来は、最終的には年金裁定時に年金記録を確認すれば足りるとの認識があったと考えられ、このような従来の姿勢及び取組を抜本的に改めなければならないと認識している。

二の1から4までについて

 広辞苑では、「公言」とは、「隠しだてせず、人前で公然と言うこと」とされているが、いかなる状況における発言が「公言」に当たるかは個々の状況により異なるものであるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

二の5について

 村瀬社会保険庁長官及び青柳社会保険庁運営部長によれば、本年二月の「国民年金・厚生年金の納付した保険料の記録が消滅する事案等に関する予備的調査(松本剛明君外四十二名提出、平成十八年衆予調第四号)についての報告書」(以下「予備的調査報告書」という。)の取りまとめの過程において、平成十五年四月から平成十八年十二月末までの国民年金又は厚生年金保険の受給権者(以下「受給権者」という。)の年金の裁定を変更する処理(以下「裁定変更処理」という。)の受付件数が約十四万件強存在することを認識したとのことである。なお、御指摘の平成十三年四月から本年二月末までの裁定変更処理の受付件数が約二十二万件弱存在することについては、本年三月の国会議員からの資料要求に係る資料の取りまとめの過程において認識したとのことである。

二の6について

 厚生年金基金の代行返上(厚生年金基金が厚生年金の代行部分の支給義務を国に移転し、確定給付企業年金へ移行することをいう。)の際に、社会保険庁がオンラインデータ上に保有する厚生年金保険被保険者原簿と厚生年金基金が保有する加入員原簿との間に齟齬があることが判明する事例があることは承知しているが、具体的にどの程度の割合で齟齬があるかについては把握していない。

三の1について

 平成九年一月の基礎年金番号の通知の際に行った「現在加入している制度以外の公的年金制度に加入したことがある」又は「二つ以上、年金手帳をもらったことがある」に該当するかどうかの照会に対して回答があった者のうち昭和十七年四月二日以降に生まれた者(以下「他制度加入照会回答者」という。)については、平成十年度から平成十四年度までの間に、基礎年金番号が付されていない又は基礎年金番号に統合されていない年金手帳記号番号に係る記録について照会を行い、当該記録の基礎年金番号への統合(以下「過去記録の整理」という。)を進めてきているところである。

三の2について

 他制度加入照会回答者の数が膨大であったため、まずは、平成十年度において、他制度加入照会回答者のうち年金の裁定請求を間近に控えた同年度に五十六歳に達する者に対して照会を行い、平成十一年度以降においては、平成十年度の照会実施状況等を踏まえ、平成十四年度までにその他の他制度加入照会回答者への照会を終了させることとしたものである。

三の3から5までについて

 社会保険オンラインシステムによって管理している基礎年金番号が付されていない又は基礎年金番号に統合されていない年金手帳記号番号に係る記録(以下「未統合の記録」という。)が約五千万件存在することについては、本年二月の予備的調査報告書の取りまとめの過程において明らかになったものであるが、村瀬社会保険庁長官及び青柳社会保険庁運営部長によれば、同年二月以前にも未統合の記録の存在については認識していたとのことであり、社会保険庁においては、その認識に基づいて過去記録の整理のために必要な予算措置等を講じてきているところである。

三の6について

 政府としては、本年七月五日に年金業務刷新に関する政府・与党連絡協議会において取りまとめた「年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について」に基づき、受給権者又は被保険者(以下「受給権者等」という。)に係る記録及び未統合の記録について、同年十二月から平成二十年三月までを目途に名寄せを実施するとともに、これと並行して、厚生年金保険の被保険者台帳に係る記録のうち昭和二十九年四月一日以前に被保険者の資格を取得して同日以前に資格を喪失し、昭和三十四年三月三十一日までの間に再取得していない者等に係るもの(以下「旧台帳の記録」という。)について、磁気ファイル化した上で受給権者等に係る記録との名寄せを実施することとしている。名寄せの結果、まず、未統合の記録を基礎年金番号へ統合することができると思われる受給権者等に対して、本年十二月から平成二十年三月までを目途(旧台帳の記録に係る者については同年五月までを目途)に、その旨と国民年金又は厚生年金保険の被保険者期間の加入履歴(以下「加入履歴」という。)をお知らせすることとしている。次に、名寄せの結果、当該お知らせの対象とならなかった受給権者等についても、加入履歴をお知らせすることとし、そのうち、現に年金を受給している者については、同年四月及び五月を目途に優先してお知らせし、それ以外の者については、同年六月から十月までを目途に、順次お知らせすることとしている。

四の1について

 安倍内閣総理大臣の発言は、社会保険庁改革について、「親方日の丸」的な組織体質の一掃等に取り組む必要がある旨を述べたものであり、人間をゴミに例えてはいない。

四の2について

 新たに発足する日本年金機構においては、組織を非公務員型の公法人とすることによって、かつての人事の在り方によるのではなく、役職員の能力及び実績に基づく人事及び給与体系の徹底を図ることとしている。

五について

 年金記録をめぐる諸問題については、現在、政府部内において、事実関係の調査を行っているところである。また、年金記録問題検証委員会の会合が本年六月十四日より開催されているところであり、まずは、同委員会において、今回の問題の発生の経緯等について検証を行った後に、その結果も踏まえ、政府として適切に判断することとしている。