質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第六六号

内閣参質一六六第六六号
  平成十九年七月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員紙智子君提出輸入飼料のアフラトキシン問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出輸入飼料のアフラトキシン問題に関する質問に対する答弁書

一について

 アフラトキシンB1が含まれる食品の輸入、販売等は、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第六条第二号に該当し、禁止されているところであり、御指摘の米国産とうもろこしについての輸入時の検査件数に対する違反率は、平成十七年において一・四パーセント、平成十八年において六・二パーセント、平成十九年五月末日時点において三・八パーセントとなっている。なお、アスペルギルス・フラバスというカビが産生する毒素であるアフラトキシンB1の汚染については、農場や貯蔵施設等におけるアスペルギルス・フラバスの汚染状況、温度や湿度等の条件が影響するとされているところである。

二について

 飼料用とうもろこしについては、とうもろこしのみで家畜に給与されるのではなく、他の原料と混合された配合飼料として給与される実態にあることから、とうもろこし単独でアフラトキシンB1についての有害物質としての基準を定めるのは必ずしも適当ではないので、特にそのような基準は定めていないが、家畜に実際に給与される配合飼料については、アフラトキシンB1についての有害物質としての基準を定めている。しかしながら、これまでこの基準に違反した事例はない。

三について

 配合飼料の原料となる輸入とうもろこしについては、独立行政法人農林水産消費安全技術センターによる水際のモニタリングを実施し、その中でアフラトキシンB1についてもその汚染実態を把握するとともに、実際に給与される配合飼料の検査を行っているところであり、水際での検査は必要ないと考えている。

四について

 飼料の輸入については、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和二十八年法律第三十五号)第五十条第一項の規定に基づき、輸入業者は、その事業を開始する前に輸入する飼料の種類等を届け出なければならず、さらに、同法第五十一条第一項の規定に基づき、農林水産大臣が、有害な物質を含み、又はその疑いがある輸入飼料等を指定し、これに該当する場合には、輸入業者は、輸入の都度、輸入飼料の数量等を届け出なければならないこととされている。

五について

 お尋ねの「カビ毒吸着剤」については、かび毒の吸着にも効果を有すると一部において言われているゼオライト、珪酸塩等が飼料原料として使用されていることは承知しているが、これらは主に家畜排せつ物の臭気の軽減等を目的として使用されているものであると認識しており、これらがどの程度の範囲において使用されているかについては、把握していない。

六について

 二についてで述べたとおり、配合飼料については、アフラトキシンB1についての有害物質としての基準に違反した事例はなく、御指摘の実態調査を行う考えはない。

七について

 牛乳がアフラトキシンM1に汚染される原因は、牛がアフラトキシンB1に汚染された飼料を摂取した結果、牛の体内でアフラトキシンB1が代謝され、生成されたアフラトキシンM1が乳中に移行することによるものと承知している。

八について

 二についてで述べた配合飼料におけるアフラトキシンB1についての有害物質としての基準を定めるに当たっては、御指摘の牛乳のアフラトキシンM1汚染の影響が発生しないように考慮したところであり、また、この基準に違反した事例はないことから、御指摘の定期的な牛乳のアフラトキシンM1汚染検査をする考えはない。

九及び十について

 独立行政法人労働安全衛生総合研究所が鹿島港において調査した結果によれば、とうもろこしの荷揚げ作業におけるアフラトキシンばく露による、港湾労働者の、健康障害の可能性はほとんどないと承知している。したがって、現時点において、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)に基づき規制を強化すべき状況にはないと考えているが、港湾労働者の健康の確保を図るため、事業者に対し、防じんマスクの常時着用等について指導を行っているところである。

十一について

 輸入飼料を輸送する船舶については、アフラトキシンの濃度検査を義務付けていないが、船員への粉じんによる健康被害対策として、船員法(昭和二十二年法律第百号)及び船員労働安全衛生規則(昭和三十九年運輸省令第五十三号)に基づき、保護具の使用等を義務付けており、船舶内におけるアフラトキシンによる健康被害については、十分な安全対策が図られていると考えている。