質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第五八号

内閣参質一六六第五八号
  平成十九年七月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員浅尾慶一郎君提出公的年金の時効特例と戦没者等の妻に対する特別給付金の時効特例に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浅尾慶一郎君提出公的年金の時効特例と戦没者等の妻に対する特別給付金の時効特例に関する質問に対する答弁書

一について

 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法(昭和三十八年法律第六十一号)による特別給付金(以下「特別給付金」という。)の受給権の平成十五年の取得者数については、把握しておらず、また、これを調査するためには膨大な作業を要することから、お答えすることは困難である。また、御指摘の「制度案内の通知」(以下「制度案内」という。)は、厚生労働省ではなく都道府県等において行ったものであり、お尋ねの都道府県別の通知者数については、把握していない。

二について

 御指摘の平成十五年三月二十七日の参議院厚生労働委員会における政府参考人の答弁は、同年から支給することとされた特別給付金の受給権者の多くは、平成五年から支給することとされた特別給付金の受給者(以下「前回受給者」という。)であると考えられることから、前回受給者に係るデータを活用して、そのうちの一定の者に対し制度案内を行いたい旨をお答えしたものである。厚生労働省においては、その趣旨に沿った対応を都道府県に要請し、都道府県等においては、保有していた前回受給者に係るデータ等を活用し、平成十五年から支給することとされた特別給付金の未請求者(以下「未請求者」という。)に対し制度案内を行ったものである。

三について

 御指摘の答弁は、特別給付金の請求が所定の期間内に行われるように十分留意して対応したい旨をお答えしたものであり、本答弁等をもって、「特別給付金の対象者に制度案内の通知を個別に送付すべき作為義務が制度創設時からあった」とは言えないと考える。

四について

 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(平成十九年法律第百十一号。以下「年金時効特例法」という。)は年金記録の訂正という事実に着目した特別な立法措置であり、同法においては、同法の施行日において厚生年金保険及び国民年金の受給権者等であった者について、年金記録の訂正がなされた上で当該受給権に係る裁定(裁定の訂正を含む。)が行われた場合には、当該受給権について五年の消滅時効が完成している場合でも当該受給権に基づく保険給付等が行われることとされており、この内容は、政府における年金記録問題に対する包括的かつ徹底的な取組みと整合性のあるものであると考えることから、政府として、異議はないものとしたところである。

五及び六について

 年金時効特例法が年金記録の訂正という事実に着目して時効消滅の特例を定めるものであるのに対し、御指摘の「特別給付金の時効消滅」の問題は、特別給付金の制度の周知が十分ではなかったために裁定請求が行われなかったことを問題とするものであり、年金時効特例法が対象とする時効消滅とは、その原因となった事情が異なるものである。所定の期間内に裁定請求が行われず既に消滅時効が完成している特別給付金の受給権について特別の取扱いをすることは、時効制度の趣旨にかんがみると必ずしも適当ではなく、第百六十六回国会に提出された戦没者等の妻に対する特別給付金支給法による特別給付金の支給に係る時効の特例等に関する法律案の内容は、適当ではないと考えている。

七について

 平成十五年から支給することとされた特別給付金については、政府広報や都道府県等の広報誌による広報、都道府県等によるリーフレットの配布等を行い、さらに、都道府県等による制度案内を行うことにより、その周知に努めてきたところである。しかしながら、未請求者の一部についてはこのような制度案内の周知が必ずしも徹底されなかったと考えられることから、今後、制度案内の方法の改善について検討してまいりたい。