質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第五七号

内閣参質一六六第五七号
  平成十九年七月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員前川清成君提出司法試験考査委員による司法試験問題の事前漏えいに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員前川清成君提出司法試験考査委員による司法試験問題の事前漏えいに関する質問に対する答弁書

一について

 植村教授が慶應義塾大学法科大学院の三年生と修了生の新司法試験受験者のうちの希望者を対象に、複数回にわたり、学内で、正規の課程外の答案練習会を行うなどしたことについて、法務省職員が、本人及び関係者からの事情聴取や関係資料の収集を行った。
 これらの調査結果については、平成十九年六月二十九日に公表した。

二について

 植村教授は、司法試験委員会の推薦に基づき、司法試験を行うについて必要な学識を有する者として、法務大臣により任命されたものである。

三について

 平成十九年六月二十九日付けで、司法試験考査委員を解任した。
 これ以外の処分は予定していない。

四及び五について

 現時点では、植村教授が慶應義塾大学法科大学院の三年生と修了生の新司法試験受験者のうちの希望者を対象に、複数回にわたり、学内で、正規の課程外の答案練習会を行うなどの事実が認められるが、更に、法曹養成における法科大学院教育の在り方という観点から、同大学における教育の実施状況に関する調査を行っているところである。

六について

 政府としては、すべての司法試験考査委員に対し、司法試験考査委員の任期中、勉強会、答案練習会等の受験指導をしたことがないかという点について報告を求めたところであり、また、今後の司法試験考査委員の体制についての検討や法科大学院における教育の実施状況に関する調査等を行っており、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたい。

七について

 試験問題そのものが漏えいされたという事実は確認されていないが、現在、司法試験考査委員において、植村教授の行為が試験の採点に影響を与えたかどうかという点について、検討しているところである。

八について

 法科大学院における科目開設状況等を踏まえ、受験者の幅広い理解力を判定することができる複数の法律分野にまたがる問題の出題も可能とするため、憲法及び行政法に関する分野の科目である公法系科目が試験科目とされたものであり、試験科目の見直しの必要性があるとは考えていない。

九について

 御指摘の「試験問題の事前漏えい」の事実は確認されていない。

十について

 法務省と文部科学省は、連携・協議をしながら、再発防止のための必要な措置を講ずることとしたところである。
 既に、司法試験委員会は、改めてすべての司法試験考査委員に対し、試験の公正さに疑念を抱かせかねないような行為をすることのないよう注意を促すとともに、司法試験考査委員の任期中、勉強会、答案練習会等の受験指導をしたことがないかという点についての報告を求めたところである。また、司法試験委員会では、今後の司法試験考査委員の体制について検討することとしている。

十一及び十二について

 法科大学院の設置については、平成十三年六月十二日付けの司法制度改革審議会意見書において、「関係者の自発的創意を基本としつつ、基準を満たしたものを認可することとし、広く参入を認める仕組みとすべきである。」、「各法科大学院は、互いに競い合うことによりその教育内容を向上させていくことが望まれる。」と提言されていることを受け、専門職大学院設置基準(平成十五年文部科学省令第十六号)において設置に必要な最低の基準を定め、それを満たしたものについて、設立を認めることとしたものであり、御指摘は当たらないものと考えている。