質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第三二号

内閣参質一六六第三二号
  平成十九年五月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員山下八洲夫君提出外国人技能実習生に係る厚生年金保険制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山下八洲夫君提出外国人技能実習生に係る厚生年金保険制度に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 厚生年金保険制度は、社会連帯と相互扶助の理念に基づき、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第九条に規定する「適用事業所に使用される者」という被保険者の要件(以下「被保険者要件」という。)に該当する限り、国籍のいかんにかかわらず被保険者とするものであり、外国人技能実習生について、外国人技能実習生であることを理由として被保険者としないことは、適当でないと考える。

一の3について

 社会保障の最低基準に関する条約(第百二号)(昭和五十一年条約第四号)第六十八条は、外国人居住者に対する均等待遇の原則について規定したものであるが、一の1及び2についてで述べたとおり、厚生年金保険法においては、被保険者要件に該当する限り、国籍のいかんにかかわらず被保険者とするものであり、外国人技能実習生について同法の適用除外とすることは、適当でないと考える。

二の1及び2について

 先の答弁書(平成十八年十二月二十日内閣参質一六五第三八号。以下「前回答弁書」という。)四の1及び2についてで述べたとおり、厚生年金保険制度は、社会連帯と相互扶助の理念に基づき、老齢、障害又は死亡という保険事故に対応して個人に対する所得保障を行うために強制適用としているものであるが、これらの理念は、外国人技能実習生についても妥当するものであり、これについての政府の見解に変わりはない。

三について

 前回答弁書三の2についてで述べた答弁は、厚生年金保険制度は、社会連帯と相互扶助の理念に基づき、被保険者要件に該当する限り、国籍、在留資格等の個人の事情にかかわらず被保険者とするものであり、外国人技能実習生であることを理由として同制度の適用除外とすることは適当でないという趣旨を述べたものである。

四の1及び2について

 厚生年金保険制度は、社会連帯と相互扶助の理念に基づき、被保険者要件に該当する者については、個人の事情にかかわらず被保険者として保険料を負担し、また老齢のみならず障害又は死亡という保険事故にも対応して給付を行うものであって、外国人技能実習生であるか否かは給付及び負担に直接関係するものではないことから、御指摘のデータは厚生年金保険制度に関する議論を行う上で必ずしも必要なものではなく、また、御指摘の遺族厚生年金等の保険給付に関する事項の記録は、日本国民であるか否か及び外国人技能実習生であるか否かを区別して管理する必要はないと考える。

五の1について

 脱退一時金制度については、我が国における滞在期間の短い外国人労働者に係る年金について外国人技能実習制度の導入前から議論があったところ、平成五年四月の同制度の導入を一つの契機として、旧厚生省年金局を中心に検討した上でこれを創設し、平成七年四月より実施しているものである。

五の2について

 厚生年金保険制度における脱退一時金については、納付された保険料の返還金という性格を有するものではなく、滞在期間の短い外国人労働者について保険料を負担したにもかかわらず給付に結びつかないという問題について対応するための特例的な措置として、当該外国人労働者本人の立場に配慮して例外的に保険給付として支給するものであり、こうした事情を踏まえ、支給額を決定しているものである。

六について

 一の1及び2についてで述べたとおり、厚生年金保険制度は、社会連帯と相互扶助の理念に基づき、被保険者要件に該当する限り個人の事情にかかわらず被保険者とするものであり、外国人技能実習生であることを理由として同制度の適用除外とすることは適当でないと考える。