質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第二七号

内閣参質一六六第二七号
  平成十九年四月二十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員福島みずほ君提出森林行政全般にかかわる政府の施策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出森林行政全般にかかわる政府の施策に関する質問に対する答弁書

一について

 意欲ある森林所有者や林業事業体等による森林施業計画の作成を促進するため、森林整備地域活動支援交付金により、森林施業の実施に必要な情報を収集する活動に対する支援等を行うこととしている。
 これに加えて、不在村森林所有者に対し、森林組合等が森林施業の委託を働きかける取組に対する支援や、林業普及指導員による指導を通じ、森林施業計画が適切に作成されるとともに森林施業が着実に実施されるよう取り組んでおり、今後とも、これらの取組の円滑な実施を図ってまいりたい。

二について

 林業就業者の減少と高齢化が進む中で、今後の森林整備を着実に推進していくためには、担い手の確保や育成を図っていくことが重要である。
 このため、平成十五年度から、新規就業者を対象として、林業に必要な技術及び技能を習得するための実践的な研修を現地で行う緑の雇用担い手育成対策事業を実施し、平成十八年度当初時点で約三千八百人の新規就業者を確保したところである。さらに、同年度から、かかり木処理等のより高度な技術に関する研修を行う緑の雇用担い手対策事業を実施しているほか、就業準備のための無利子資金の貸付けや都道府県の森林整備担い手対策基金を通じた支援を行っているところである。今後とも、森林整備を担う林業就業者の確保や育成を図るため、各般の事業を総合的に推進してまいりたい。
 なお、森林技術総合研修所林業機械化センターにおいては、国有林の職員のみならず、地方公共団体からの研修生や民間の林業従事者を受け入れ、高性能林業機械の研修を始めとした人材育成のための研修を実施しており、今後とも、同研修所を活用した人材育成のための研修を実施していく考えである。

三について

 労働行政及び林野行政の関係機関が合同で巡回すること等により、林業事業場に対し、労働者に対する安全のための教育の徹底等について指導を行っているほか、林業・木材製造業労働災害防止協会が行う安全のための教育等の自主的活動への指導及び援助に努めているところである。
 さらに、現場作業者に対する安全な作業技術の現地検討会の開催に対し支援を行うほか、安全で使いやすい機械・器具の開発等に取り組み、林業労働災害の防止に努めてまいりたい。

四について

 森林吸収源対策の推進を図るため、平成十八年度補正予算及び平成十九年度予算において約二十三万ヘクタールの追加的な森林整備に相当する、計七百六十五億円の予算を措置したところである。
 これらの事業の実施に伴い地方公共団体が負担する経費に対しては、普通交付税等の地方財政措置が講じられているとともに、川上と川下の連携による間伐材等の安定供給を通じた国産材の利用拡大、作業道等の路網整備と高性能林業機械の組合せによる施業の低コスト化等を推進することにより、間伐の収益性を高め、実質的に森林所有者の負担軽減につながる施策を推進しているところである。また、平成十九年度から、新たに未整備森林の解消を図るため、国からの定額助成方式により、都道府県等が森林所有者に代わって森林施業を実施するモデル事業を行うこととしている。
 今後とも、京都議定書目標達成計画(平成十七年四月二十八日閣議決定)に基づく森林吸収源対策の目標達成に向け、所要の財政措置を含め、諸対策の推進に努めていく考えである。

五について

 梅雨前線豪雨や台風等による山地災害の発生箇所に対し、再度の災害発生の防止を図る観点から荒廃箇所や被災施設の早期復旧を行う災害関連緊急治山等事業や治山施設災害復旧事業等の災害復旧関係事業を実施するのに必要かつ十分な額として、平成十二年から平成十六年までの五年間で事業費約千九百五十六億円が計上されてきたところである。また、これらに加え、経常の治山事業においても、荒廃箇所の計画的な復旧対策等を講じてきたところである。
 今後とも、山地災害の復旧対策及び予防対策を図るための所要の予算額の確保に努め、事業の適切な実施を通じて、国民の安全・安心の確保が図られるよう万全を期していく考えである。

六について

 森林・林業基本計画(平成十八年九月八日閣議決定)において示されている林産物の供給及び利用に関する目標を達成するためには、品質及び性能の明確な製品を大量かつ安定的に供給し得る体制を整備していくことが重要である。このため、川上と川下が連携して、伐採可能な立木資源に関する情報のデータベース化を行い、原木供給側と加工側の需要に関する情報の結び付け等を図るとともに、住宅メーカー等の大口需要者に対し大ロットで安定的に供給する新たな加工・流通体制の整備等を支援してまいりたい。
 また、国が設置する施設について国産材の使用を基本とすべきとの点については、公共の施設において国産材の使用を義務付けることは、千九百九十四年四月十五日マラケシュで作成された政府調達に関する協定により、政府機関等による産品の調達に当たり外国産品より国内産品を優先して使用することが禁止されていることを踏まえて対応すべきと考えているが、森林整備のために国産材を利用することの重要性について普及啓発に努めてまいりたい。