質問主意書

第166回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八号

内閣参質一六六第一八号
  平成十九年三月三十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員福島みずほ君提出個人情報保護法の施行状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出個人情報保護法の施行状況に関する質問に対する答弁書

一の1について

 平成十八年六月に内閣府が公表した「平成十七年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要」において個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号。以下「法」という。)に基づく総務大臣による権限行使として記載された四十八件の報告の徴収に関し、それらの対象となった事業者の当時の名称は、放送関係の四十七事例については、株式会社アイティービー、株式会社アニマックスブロードキャスト・ジャパン、株式会社FM802、株式会社大垣ケーブルテレビ、株式会社キャッチネットワーク、株式会社ケーブルテレビ足立、株式会社ケーブルテレビ可児、株式会社ケーブルネット神戸芦屋、株式会社ケーブルネット鈴鹿、株式会社山陰放送、株式会社シティテレビ中野、株式会社シー・ティー・ワイ、株式会社ジェイコム関西、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ、株式会社タウンテレビ習志野、株式会社タウンテレビ南横浜、株式会社ティー・ヴィー・キュー九州放送、株式会社テプコケーブルテレビ、株式会社テレビ朝日、株式会社テレビ東京、株式会社東京放送、株式会社東日本放送、株式会社WOWOW、関西テレビ放送株式会社、熊本ケーブルネットワーク株式会社、ケーブルネット埼玉株式会社、山陰ケーブルビジョン株式会社、スターキャット・ケーブルネットワーク株式会社、東京ケーブルネットワーク株式会社、豊橋ケーブルネットワーク株式会社、日本テレビ放送網株式会社、日本放送協会、東大阪ケーブルテレビ株式会社、福岡ケーブルネットワーク株式会社、船橋ケーブルネットワーク株式会社、三河湾ネットワーク株式会社及び武蔵野三鷹ケーブルテレビ株式会社、郵政行政関係の一事例については、財団法人簡易保険加入者協会であり、それらの事案の概要は、法第二十一条の従業者の監督義務に反して個人データの漏えい、滅失又はき損のあった事案が二十二件、法第二十二条の委託先の監督義務に反して個人データの漏えい等のあった事案が二十六件となっている。

一の2について

 平成十八年四月一日から本年三月二十六日までの間における法に基づく総務大臣による権限行使の対象となった個人情報取扱事業者の名称は、KDDI株式会社であり、法第三十二条に基づく報告の徴収は、平成十八年六月に約四百万件の個人データの漏えい事案が発覚し、同年九月に文書指導を受けたにもかかわらず、本年一月二十五日に約二十二万件の個人データの漏えい事実が発覚したことを受けて、同年二月十五日に行っている。また、法第三十四条第一項に基づく勧告は、同年三月一日の同社からの報告の結果、平成十八年九月の文書指導により再発防止策の徹底を求めたにもかかわらず、個人データの安全管理のための必要かつ適切な措置が十分になされていなかったことが認められたため行っている。

一の3及び二について

 放送関係の四十七事例については、放送受信者等の個人情報の保護に関する指針(平成十六年総務省告示第六百九十六号。以下「放送分野の指針」という。)等に基づく事業者による任意の報告があったものであって、法に基づく権限行使ではなかったことから、法に基づく施行状況に関する集計方法について、内閣府と調整した結果、法に基づく権限行使としては計上しないこととし、郵政行政関係の一事例については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第六十七条に基づく公益法人の一般監督権限として権限行使を行ったものであって、法に基づく権限行使ではなかったことから、法に基づく権限行使としては計上しないこととした。このため、法に基づく権限行使としての件数は零件であった旨の訂正をすることとし、本年二月十五日に内閣府へ報告し、同年三月五日に内閣府より発表されたものである。

三の1について

 放送分野においては、個人情報の漏えい等があった場合は、放送分野の指針等に基づき事業者から総務大臣に対して報告が行われているところであり、御指摘の国民生活審議会個人情報保護部会に提出した資料を作成した時点においては、事業者から報告のあった事案はすべて法第三十二条に基づく報告の徴収に該当するものと誤って認識していたものである。なお、前述のとおり、法に基づく報告徴収の件数としては零件であったことから、その旨の訂正を行ったところである。

三の2及び3について

 御指摘の国民生活審議会個人情報保護部会に提出した資料三頁中「第三十四条」とあるのは、「第三十二条」の誤りである。

四について

 個人情報の保護に関する基本方針(平成十六年四月二日閣議決定)では、各省庁において、それぞれの事業等の分野の実情に応じたガイドライン等の策定・見直しを早急に検討することとされており、放送分野は、特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある分野の一つとされた「情報通信」に該当するものであることから、放送関係事業者のとるべき対応を示すため、総務省において、平成十六年八月三十一日に放送分野の指針を策定したものである。放送分野は総務大臣が所管する分野であり、御指摘の「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」の対象となるものではない。

五について

 文部科学省では、法第五十条第一項第三号において、大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者については法第四章に定める個人情報取扱事業者の義務等の規定を適用しないとされていることから、学術研究分野を通じての個人情報の取扱いを示した指針は策定していないが、ヒトゲノム・遺伝子解析研究、疫学研究及び遺伝子治療臨床研究については、指針を策定している。
 なお、御質問にある「登録学術研究団体」の制度については、日本学術会議法の一部を改正する法律(平成十六年法律第二十九号)の施行により廃止されている。

六について

 文部科学省では、法第五十条第一項第四号において、宗教団体については法第四章に定める個人情報取扱事業者の義務等の規定を適用しないとされていることから、宗教分野における個人情報の取扱いを示した指針は策定していない。

七について

 総務省では、法第五十条第一項第五号において、政治団体については法第四章に定める個人情報取扱事業者の義務等の規定を適用しないとされていることから、政治団体における個人情報の取扱いを示した指針は策定していない。

八について

 放送分野について、指針の策定が必要であることについては、四についてで述べたとおりである。法第五十条第一項第一号において報道機関が報道の用に供する目的であるときは法第四章の規定が適用除外とされるが、総務省としては、放送分野ではこれ以外の目的のものについても、有料放送視聴者の名簿や視聴履歴等保護すべき多くの個人情報が存在しているため、特に個人情報の適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要があり、指針を策定している。