質問主意書

第166回国会(常会)

質問主意書


質問第七一号

強制連行朝鮮人の厚生年金に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年七月四日

岡崎 トミ子   


       参議院議長 扇 千景 殿



   強制連行朝鮮人の厚生年金に関する質問主意書

 年金データの不整備問題が国民の関心事となっているが、かつて日本国民として扱われていた旧植民地の朝鮮人・韓国人、「台湾人」の厚生年金についても、その受給資格を洗い直さなければならないと考える。これまでに、年金受取の申請のあった韓国人について、申請に基づいて支払いが行われた者も存在するが、この際、強制連行朝鮮人(いわゆる「朝鮮人旧民間徴用者」、以下同じ。)の厚生年金問題解決のためにも「旧台帳」の年金データを電算化し、韓国政府に提供すべきと考える観点から、次のとおり質問する。

一 現在進行中の韓国政府と日本政府のいわゆる旧民間徴用者の遺骨問題の協議の過程で、韓国側より戦時中の韓国人の厚生年金データについて提供してほしい旨の要望が出され、日本側は可能な限り提供したい、どのように提供できるか検討したいとの回答をしたと伝えられているが、それは事実であるか明らかにされたい。

二 韓国政府は、日韓基本条約締結に際し請求権を放棄した経緯にかんがみ、被害者救済の立法を準備中であると聞くが、それは事実であるのか。また、その場合の厚生年金の扱いはどのようになっているのか。それぞれ明らかにされたい。

三 昭和十七年より開始された厚生年金に強制連行朝鮮人が加入していたと聞くが、それは事実であるか明らかにされたい。

四 現在問題になっている年金データの不整合問題で公表された電算化されていない「旧台帳」分の千四百三十万件の中に、強制連行朝鮮人の年金記録が含まれていると聞くがそれは事実であるか。明らかにされたい。

五 「旧台帳」に記録されている強制連行朝鮮人の厚生年金加入者数を明らかにされたい。

六 強制連行朝鮮人の年金の支払いに関し、日韓会談の内容や年金支給資格について、明らかにすべきことがある。

1 強制連行朝鮮人の年金支払いについて、日韓会談で話し合われた経緯はあったかどうか、話し合われたのであれば、どのような結論に達したのか明らかにされたい。
2 「旧台帳」などの年金データに記録が確認される強制連行朝鮮人の年金受給資格は現在どのようになっているのか、時効の問題も含めて明らかにされたい。また、在日韓国・朝鮮人の年金受給資格について、政府の認識を明らかにされたい。

七 韓国政府が要望する韓国人の年金データを提供することは、日本のあるべき姿として当然のことと考える。

1 韓国人年金データを整理して早急に提供すべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。
2 「旧台帳」は、電算化されていないので、早急に電算化し、電算化されているデータとの突き合わせを行えるようにすることが必要と考えるが、いつ頃までに電算化する予定であるか明らかにされたい。
3 電算化することにより、外国人の厚生年金データも整理されることになり、韓国政府などの要請にもこたえられることとなる。外交交渉での日本の約束も履行できる意義は大きいと考えるが、政府の見解を示されたい。

八 死亡者の情報は個人情報保護法の適用から除外されているにもかかわらず、過剰に拡大解釈されている現状がある。死亡した強制連行朝鮮人の身元確認資料として、社会保険事務所に情報提供を求めたところ、社会保険庁からの通達があれば提供するとの回答があった。政府が所持する年金データについて、強制連行朝鮮人の遺骨の身元調査のための資料として、仏教界やこれまで遺骨調査に携わってきた調査関係者に提供するよう社会保険庁より社会保険事務所に通達することを求めるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。