質問主意書

第166回国会(常会)

質問主意書


質問第六六号

輸入飼料のアフラトキシン問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年七月四日

紙 智子   


       参議院議長 扇 千景 殿



   輸入飼料のアフラトキシン問題に関する質問主意書

 二〇〇五年夏の米国における超大型ハリケーンカトリーナによる被害によって、米国産トウモロコシのカビ毒汚染、取り分け極めて強い発がん性を持っているアフラトキシンB1による汚染が広がっている。日本は、飼料用トウモロコシの九十四パーセントを米国に依存し、食用トウモロコシも米国からの輸入が多い。また、日本の牛乳は、国際基準を下回っているとはいえ、アフラトキシンB1が乳牛の体内で代謝・産生されたアフラトキシンM1(アフラトキシンB1の毒性の十分の一の毒性を持つ)に例外なく汚染されている。それだけに、このアフラトキシン対策は、国民の食の安全と安心の確立のために不可欠である。さらに、港湾で輸入飼料の荷揚げに従事している労働者が、アフラトキシンに被爆している点で、港湾労働者の健康をどう守るかという問題も極めて重要である。
 そこで、以下質問する。

一 米国から輸入している食用トウモロコシから、二〇〇五年後半からアフラトキシンが検出されるようになり、基準に違反した率は、二〇〇六年に入って約一割近くまで上がってきたが、その原因について政府の見解を示されたい。

二 米国から輸入している飼料用トウモロコシについて、二〇〇五年後半から現在まで、アフラトキシンの基準違反が一件もないことについて、同じ米国産トウモロコシであるにもかかわらず、食用では一割近い基準違反があり、飼料用では一件もないことは、科学的にあり得ないとは考えないのか。その理由について政府の見解を示されたい。

三 飼料用トウモロコシも食用トウモロコシと同様に、港湾に入着時にアフラトキシン検査をすべきだとは考えないのか。検査しなくてもよいと考えるのであれば、検査しない理由を明らかにされたい。

四 食品については、輸入届出制度が、食品衛生法に基づいて確立されているが、飼料については、輸入届出制度を確立しない理由を明らかにされたい。

五 政府は、畜産の現場でカビ毒吸着剤が広範囲に使われている現実を把握しているか明らかにされたい。

六 カビ毒吸着剤が畜産の現場で広範囲に使われているということは、輸入飼料のアフラトキシン汚染が家畜被害をもたらすなど経営面に影響を与えているからだと思われるが、政府として、実態調査をする考えはないか明らかにされたい。

七 牛乳のアフラトキシンM1汚染について、その原因について政府の見解を明らかにされたい。

八 輸入飼料のアフラトキシン対策を強化しなければ、今後とも牛乳のアフラトキシンM1汚染が続くとは考えないのか。また、定期的な牛乳のアフラトキシンM1汚染検査をする考えはないか。政府の認識を明らかにされたい。

九 輸入飼料の荷揚げ作業に伴う港湾労働者のアフラトキシン被爆について、政府の認識を明らかにされたい。

十 政府は、アフラトキシンを労働安全衛生法に基づく有害物質として指定し、港湾労働者のアフラトキシン被爆を極力防止すべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

十一 輸入飼料運搬船舶内の粉じん中のアフラトキシン濃度検査を定期的に行うべきだと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。