質問主意書

第166回国会(常会)

質問主意書


質問第四四号

兵庫県加古川における河川管理者による車両制限柵等の締切措置による内水面漁業者の漁業権の侵害に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年六月四日

辻 泰弘   


       参議院議長 扇 千景 殿



   兵庫県加古川における河川管理者による車両制限柵等の締切措置による内水面漁業者の漁業権の侵害に関する質問主意書

 我が国では、古来より、河川の水と緑が人々の生活の中に美しく調和し、四季折々、多様な形で人々の生活を潤してきた。そこには、漁業を営み生活の糧を得る人々たちの生業も調和し、河川が多くの人々に生活の場を提供してきた。しかしながら、昨今、河川の一部がゴミの不法投棄の場と化している現状への懸念などから、その対策の一つとして、河川管理者による車両制限柵等の締切措置等が行われてきた。この場合、河川の水と緑が人々の生活の中に調和し、漁業で生活の糧を得る人々たちの生業も継続してきたことを前提とすべきであり、ただ単に河川管理者が車両制限柵等で締め切ることは、この調和を崩壊させる。
 兵庫県加古川において、河川管理者が、関係する内水面漁業者の承諾を得ずして、管理する加古川の進入路についてはすべてを車両制限柵等で締め切るという問題が生じており、まさに、この調和を崩壊させる深刻な事例が認められ、関係する内水面漁業者は非常に困惑している。内水面漁業者がその漁業に現に従事し、それが生活上の利益となっている場合、その漁業を営む地位は法的保護に値する権利、利益であり、それが侵害されることは避けなければならない。本来、ゴミの不法投棄の防止のためには、所管する河川管理者及び警察、関係自治体、関係する漁業協同組合等の協力体制で対応策の具体化を図ることが肝要である。
 このような観点から、以下質問する。

一 我が国の河川における河川管理者による車両制限柵等の締切措置に関し、その実施区間、目的、実施時期等について政府の把握状況を示されたい。

二 河川管理者による車両制限柵等の締切措置を行う場合、定めるべき指示内容等のガイドラインは存在するのか。存在しないとすれば、制定すべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 河川管理者による車両制限柵等の締切措置を行う場合の手続を示されたい。また、内水面漁業者の漁業権が侵害されるおそれがある場合、あらかじめ協議の場を設ける必要があるのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 河川管理者による車両制限柵等の締切措置により、現に内水面漁業者の漁業権が侵害されている場合、政府はどのような対応を行っているか示されたい、また今後の対応策についても示されたい。

五 加古川において車両制限柵等の締切措置が実施されているが、その目的、実施時期等について具体的に示されたい。

六 本件事例においては、極めて多数の漁業者に支障が生じているが、政府の認識を示されたい。

七 加古川河川管理事務所(以下「本管理事務所」という。)は、車両制限柵等の締切措置の実施について、加古川漁業協同組合(以下「本漁協組合」という。)の承諾を得たと主張しているが、その根拠を示されたい。

八 本管理事務所が、本漁協組合の承諾を得ずに車両制限柵等の締切措置を一方的に実施することは、明らかな漁業権の侵害になると認識するが、政府の見解を示されたい。

九 本件事例は、漁業権の侵害に当たると認識しているが、今後も締切措置を継続して実施していくのか、政府の方針を示されたい。

十 本管理事務所による車両制限柵等の締切措置は、本漁協組合の漁業権を侵害し、漁業者の生活権を脅かすばかりであり、その実施に当たっては締切措置により損失を受けるおそれがある者の事前の同意が不可欠であると考えられる。よって、締切措置の今後の扱いについては、車両制限柵等の撤去も含め適切な措置が講じられるよう検討されるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。