質問主意書

第166回国会(常会)

質問主意書


質問第三〇号

製造販売業者名等を表示していない医薬品に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年四月二十七日

又市 征治   


       参議院議長 扇 千景 殿



   製造販売業者名等を表示していない医薬品に関する質問主意書

 二〇〇二年の薬事法の一部改正が経過措置を経て、本年四月から完全に施行されている。これにより、製造販売業者名等を法の規定どおりに表示していない医薬品(以下「未表示医薬品」という。)は違法となり、販売事業者は、未表示医薬品の販売だけでなく陳列するだけでも懲役または罰金が課されることとなっている。厚生労働省は、改正内容を一応周知したとのことではあるが、現場の業者には徹底していないため、違法性が生じるおそれがある。違法とならないためには、未表示医薬品を回収するか、製造販売業者の責任の下、未表示医薬品のラベルを同法に適合した表示に貼り直すかの方法があると考える。
 そこで、以下質問する。

一 医薬品販売現場の実情をみると、一方で大手の薬店・医薬品スーパーなどは返品をし、製造業者もそれを受け入れているものの、他方で中小薬局・薬店や配置薬業者の場合は少量であるため、手数料も割高で返品しても輸送コストなどで赤字になるため返品をためらい、こうした医薬品が違法状態で滞留することにより、従前どおり未表示医薬品が売られるおそれは否定できない。未表示医薬品の回収に関して、こうした実態についての政府の把握状況を明らかにされたい。また、販売業者のうち大手業者、中小業者別にそれぞれ、現在手元にある未表示医薬品の量や現在までに回収した量を明らかにされたい。

二 製造販売業者の責任の下、未表示医薬品のラベルを法に適合した表示に貼り直すこと(以下「ラベル方式」という。)については、厚生労働省により通知がなされている。厚生労働省は、ラベル方式によることとした製造販売業者名を把握しているのか明らかにされたい。また、ラベルの発行枚数やそのうち製造販売業者自ら貼るとした分と製造販売業者の責任の下で、他の者に貼らせるとした分についての数量等も把握しているのか明らかにされたい。

三 現場では、本年四月に入ってから、販売(卸売)業者が自らの社名の(製造販売業者名がない)ラベルを小売業者に送り付けたものの、結局は無駄となる事例が起きている。厚生労働省は、現場の実情を把握し、補正することにより流通可能となる医薬品を無駄にせず、また違法行為とならないようラベル方式を採る場合の趣旨・手法を再徹底すべきではないか。政府の見解を示されたい。

四 回収またはラベル方式のいずれかの方式を採るにしても、厚生労働省は三月に通知を出した以上、事後の状況を調査し販売先に残っている医薬品について、製造販売業者の責任で回収するか、または正しいラベルを貼るよう、指導する責任があると考えるが政府の見解を示されたい。

五 「本年四月から違法となる」旨をありのまま報道しようとした者が、返品を恐れる製薬企業から指弾され、言論の自由を封殺される事態が起きている。また一方では、これと裏腹に業界の一部には、「性急な取締りはないから、大丈夫だ。厚生労働省から了解を得ている。」との風聞が流されている。仮に厚生労働省がそのような趣旨に取られる説明をしているのであれば、政府自らが脱法行為を容認する、法治国家にあるまじき行為となる。このようなことは事実か否か明らかにされたい。

六 五のような薬事法の一部改正の完全施行の趣旨に逆転した事態が起きないよう、飽くまでも法適用を前提に末端の中小事業者にも、法の施行への対処を早急に徹底させるべきである。しかし、現在、各県における解釈や指導は統一性を欠いており、地域によって法の徹底の度合いや取締りに強弱が生まれ、一部の地域や事業者だけが違法とされ刑事罰に処せられるといった不公平な事態が発生するおそれがある。このような事態を避けるためにも、厚生労働省の指導を早急かつ統一的に徹底すべきだと考えるが、その具体策を示されたい。

  右質問する。