質問主意書

第166回国会(常会)

質問主意書


質問第一五号

漁業権に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年三月五日

又市 征治   


       参議院議長 扇 千景 殿



   漁業権に関する質問主意書

 漁業権は漁民の生活・生業の権利の根幹を保障する法理であるが、実際の運用においては、埋立事業、橋梁建設、発電所建設など「公益」を標榜した事業体による、巨大な力によって、しばしばこれが侵害されてきた。特に、漁協の多数者と少数者との意見が一致せぬまま、漁業権の一部放棄を決定することもあるが、そのような場合においても、少数者の最小限の生活・生業の権利は擁護されるべきである。
 このような観点から、以下質問する。

一 漁業法では、関係地区に住む漁民(以下「関係漁民」という。)であれば、漁協に属さない員外者であっても「第一種及び第五種の共同漁業権の内容たる漁業」を営めるとされている。員外者である関係漁民の営む「共同漁業権の内容たる漁業」の実態が社会通念上権利と認められる程度にまで成熟した慣習上の利益であると判断される場合、当該漁業に損害を与える行為をなすに当たり、当該関係漁民への漁業補償が必要であると解することについて政府の見解を示されたい。

二 漁協が、当該漁協が免許を受けている共同漁業権に関し、漁協総会において漁業権一部放棄を決議(特別決議)した場合、一部放棄された海域において、当該漁協の組合員を含む関係漁民が「共同漁業権の内容たる漁業」を営むことは可能であると解することについて政府の見解を示されたい。

三 当該漁協の組合員の営む「共同漁業権の内容たる漁業」の実態が社会通念上権利と認められる程度にまで成熟した慣習上の利益であると判断される場合、当該漁業に損害を与える行為をなすに当たり、当該組合員への漁業補償が必要と解することについて政府の見解を示されたい。

四 三の場合、当該漁協の組合員の営む「共同漁業権の内容たる漁業」の実態が社会通念上権利と認められる程度にまで成熟した慣習上の利益となっているか否かを判断する際には、当該組合員が漁業権一部放棄決議以前に営んでいた漁業の実態をも含めて判断すべきである。これと異なり漁業権一部放棄決議後の漁業の実態のみによって判断するならば、当該組合員の権利を侵害する結果になるので、このような判断は採るべきでないと考えるが政府の見解を示されたい。

  右質問する。