質問主意書

第165回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二八号

内閣参質一六五第二八号
  平成十八年十二月十二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員荒井広幸君提出教育の基本に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員荒井広幸君提出教育の基本に関する質問に対する答弁書

一の1について

 文部科学省においては、教員に豊かな経験を有する多様な人材を確保するため、公立学校教員の採用選考を行う各都道府県教育委員会等に対し、受験年齢制限の緩和等を図るよう指導しているところである。

一の2について

 校長の任用については、文部科学省において、教職員としての経験や教員免許状を有しないいわゆる民間人校長の任用状況に関する情報提供を行うこと等を通じて、民間人校長の積極的登用を含め、校長の適材確保に向けた取組に努めるよう、各都道府県教育委員会等に対し促してまいりたい。

二の1について

 地域の多様な人材が学校に関わり、支援する仕組みとしては、学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)第二十三条の三の規定等に基づく学校評議員制度や、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第四十七条の五の規定に基づく学校運営協議会制度等がある。また、学校の授業において地域の多様な人材を活用する仕組みとしては、教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)第三条の二の規定に基づくいわゆる特別非常勤講師制度や、同法第五条第二項の規定に基づく特別免許状制度等がある。今後とも、これらの仕組みやその活用の状況を周知すること等を通じて、学校の経営や教育活動における地域の人材の活用が進むよう努めてまいりたい。

二の2について

 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二○○六」(平成十八年七月七日閣議決定)において、「教育行政の仕組み、教育委員会制度については、抜本的な改革を行う」こととされており、今後、御指摘の国、地方、首長、教育委員会の責任分担の明確化、校長の権限の拡大を含め、教育行政の在り方について検討してまいりたい。
 また、御指摘の保護者や本人の責任については、学校、家庭及び地域住民がそれぞれの役割と責任を自覚し、相互の連携協力に努めることが重要と考えており、今後、その促進に努めてまいりたい。

三について

 学校における作文の指導については、国語科の「書くこと」についての指導の一環として行われているところである。
 学習指導要領全体の見直しを検討している中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の審議経過報告(平成十八年二月十三日)においては、国語力の育成を重視するとの基本的な考え方に基づき、自分の考えをまとめて表現するなどの「書くこと」の指導を充実することが必要と指摘されている。今後、中央教育審議会において、作文教育を含めた国語教育の改善について更に具体的に検討していくこととしている。

四について

 教育基本法案(以下「法案」という。)は、我が国の教育の目的及び理念並びに教育の実施に関する基本となる事項等を定めるものであり、教育における児童生徒の評価の在り方について直接規定していないが、御指摘の「学校の成績が人間の評価ではない」との点については、法案第一条において、教育は人格の完成を目指すものであること等を明示しており、また、御指摘の「多様な面から良い点を見つけてあげて評価する」という点については、学習指導要領において、児童生徒の「よい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに、指導の過程や成果を評価し、指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること」としている。

五について

 御指摘の「公平な教育」の趣旨が必ずしも明らかでないが、法案第四条第一項において、すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、社会的身分、経済的地位等により教育上差別されない旨を規定し、同条第三項において、経済的理由によって修学が困難な者に対する奨学の措置についても規定している。また、法案第五条において、義務教育の機会の保障とその水準の確保のため、国及び地方公共団体が、その実施に責任を負うことを規定するとともに、法案第十六条においては、国は全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るための施策を実施し、地方公共団体は地域における教育の振興を図るための施策を実施すべき旨を規定している。