質問主意書

第165回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二六号

内閣参質一六五第二六号
  平成十八年十二月一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員藤末健三君提出ODA事業の適正な執行に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出ODA事業の適正な執行に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の委員会において質疑のあった平成十六年度に閣議決定をした一般プロジェクト無償資金協力及び水産無償資金協力の案件の平均落札率は約九十三・五パーセントであったのに対し、平成十七年度分の平均落札率は約九十二・三パーセントである。政府としては、無償資金協力事業の入札における競争性の向上を図っていくことが重要と考えており、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)と協力しつつ、入札における事前資格審査基準の緩和、業者等に対する説明会の拡充等を通じ、入札における参加者の拡大に努めている。

二について

 御指摘の報道の内容に基づき該当案件と推測される無償資金協力事業の入札会においては、特定の業者の入札参加資格に関して他の業者から質問がなされた経緯があったが、御指摘の報道により言及されている発言を含め談合の疑いを示す事実はなかったとの報告をJICAから受けており、入札は適正に成立したものと承知している。
 我が国ODA事業の請負業者については、一般に、所定のガイドラインに基づき、経済性、効率性、公平性を確保するとの観点から、原則として一般競争入札により選定されている。

三について

 政府としては、無償資金協力事業の入札における競争性の向上を図っていく上で、業者の新規参入は望ましいものと考えている。他方、新規参入業者が落札した案件の落札率が平均落札率を下回っていることのみをもって、それ以外の案件の入札において談合が行われてきたと結論付けることは困難である。

四について

 二国間で実施している食糧援助及び貧困農民支援については、供与資金により調達される品目が限られるため、予定価格を公表した場合、当該品目の予定単価が容易に推測され、その後の入札において競争性を確保することが困難となるおそれがあることから、予定価格については非公表としているものである。

五について

 JICA、国際協力銀行(以下「JBIC」という。)及び財団法人日本国際協力システム(以下「JICS」という。)の職員の転職の状況については、一般に政府がこれを把握する立場にはない。
 しかしながら、平成十四年四月一日から平成十八年十月一日までの間の役職員の転職状況について、JICA、JBIC及びJICSが自主的に調査した結果を聞いた限りでは、以下のとおりと承知している。
 JICAから建設業界又はコンサルタント業界に転職した人数は五名である。一方、建設業界又はコンサルタント業界からJICAに転職した人数は四名である。
 JBICから建設業界又はコンサルタント業界に転職した人数は十一名である。一方、建設業界又はコンサルタント業界からJBICに転職した人数は一名である。
 JICS役職員から建設業界又はコンサルタント業界に転職した事例及び建設業界又はコンサルタント業界からJICSの役職員に転職した事例はない。一方、建設業界又はコンサルタント業界から十二名がJICSの常勤嘱託となっている。

六について

 平成十七年度末時点のJBICの海外経済協力勘定について、延滞債権の件数は、三十一件(契約ベース)、当該延滞債権総額は、九百六十九億九千八百万円である。また、延滞解消のために、JBICからの貸付先に対する督促状の発出を行っている。