質問主意書

第165回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一八号

内閣参質一六五第一八号
  平成十八年十一月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員紙智子君提出第三期科学技術基本計画を踏まえた若手研究者の処遇と筑波研究学園都市の宿舎問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出第三期科学技術基本計画を踏まえた若手研究者の処遇と筑波研究学園都市の宿舎問題に関する質問に対する答弁書

一の1及び3について

 若手研究者の雇用状況については、文部科学省において「大学・公的研究機関等におけるポストドクター等の雇用状況調査(平成十七年度調査)」を実施しており、博士号を修得した者又は博士課程に標準修業年限以上在学して所定の単位を取得の上退学した者のうち、研究機関において任期付きで研究業務に従事しているもの(教授、助教授、講師、助手、主任研究員等の職にある者を除く。以下「ポストドクター等」という。)の人数は、平成十六年度で一万四千八百五十四人となっている。
 御指摘の任期制については、研究者の流動性を向上し活力ある研究環境を形成する観点から、その定着に引き続き努めることとしている。また、ポストドクター等は我が国の研究活動の活発な展開に大きく寄与するものであり、その任期終了後の職業選択に関する支援が必要であると認識している。
 このため、第三期科学技術基本計画(平成十八年三月二十八日閣議決定)を踏まえ、平成十八年度から、ポストドクター等について大学の研究職以外の進路も含めた多様な職業選択を支援するための取組を実施するとともに、大学等において、任期付きの雇用形態で自立した研究者としての経験を積み、厳格な審査を経てより安定的な職を得る仕組みの導入を奨励しているところである。

一の2について

 政府としては、第三期科学技術基本計画を踏まえ、初等中等教育段階から研究者育成まで一貫した総合的な人材育成施策の実施に努めているところである。
 具体的には、理数教育を重視する高等学校に対する支援の実施、大学院教育の抜本的強化、産学が協働した人材育成、若手研究者に自立性と活躍の機会を与える仕組みの導入、若手研究者を対象とした競争的資金の拡充等に取り組んでいるところである。

二の1について

 筑波研究学園都市内に立地する国の研究機関、独立行政法人、民間企業等の正職員以外の研究者数が、平成十三年の三千六十三人から、平成十六年には五千五百七十八人に増加しているとの、つくば市内の研究機関等で構成する筑波研究学園都市交流協議会による調査結果があることは承知している。
 筑波研究学園都市の宿舎の潜在的需要が増えているかどうかについては承知していないが、筑波研究学園都市の国家公務員宿舎は、未入居率が高いことから、これまでも計画的に宿舎廃止を進めてきているところである。

二の2について

 国家公務員宿舎法(昭和二十四年法律第百十七号)及び国家公務員宿舎法施行令(昭和三十三年政令第三百四十一号)においては、国家公務員宿舎は、常時勤務に服することを要する国家公務員、その職務の性質上宿舎を貸与することが適当である者として各省各庁の長が財務大臣に協議して指定するもの等に有料で貸与することができる旨が規定されている。
 国家公務員宿舎については、国家公務員等の職務の能率的な遂行を確保し、もって国等の事務及び事業の円滑な運営に資することを目的として設置されていることを踏まえ、今後とも適切に対処してまいりたい。

二の3について

 筑波研究学園都市に所在する国家公務員宿舎は、昭和四十五年から昭和五十五年までの間に建設されたものであり、これまでも予算の範囲内で老朽化等に伴う改修を行ってきたところである。今後とも、国家公務員宿舎の廃止予定等を踏まえつつ、計画的な改修に努めてまいりたい。

二の4について

 政府としては、御指摘の研究学園地区建設計画に基づき、環境の保全に配慮した土地の適正な利用を関係機関とともに進めているところであり、今後の住宅地区における良好な生活環境の維持については、地元の住民や地方公共団体が主体となって取り組むべきものと考えている。
 国立大学法人筑波大学及び大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構が保有する宿舎に対する財政措置については、毎年度、それぞれの法人の運営費交付金算定方式に基づき、施設の維持保全に要する経費を運営費交付金に計上しているところである。