質問主意書

第165回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一六五第一七号
  平成十八年十一月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員藤末健三君提出ODAの評価体制及び効率性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出ODAの評価体制及び効率性に関する質問に対する答弁書

一の1について

 政府開発援助(以下「ODA」という。)の事業に係る評価については、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)及び国際協力銀行(以下「JBIC」という。)は、御指摘のような技術的知見を有する人材の確保に努めるとともに、職員の研修等を通じた評価業務に関するノウハウの蓄積による評価業務の充実化を図っている。

一の2について

 外務省としては、外務省組織令(平成十二年政令第二百四十九号)及び行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)に基づき種々の形態による評価を実施している。同法に基づく評価は、同法第九条に規定される事前評価や、ODAの実施体制を含め、外務省の援助政策につき外務省自身が全般的に評価するものである一方、外務省組織令に基づく評価は、より客観性、公平性を確保するためODA評価有識者会議による第三者評価を中心に、国別援助政策や政府開発援助大綱(平成十五年八月二十九日閣議決定)において示された重点課題といった特定の援助政策を評価するとともに、無償資金協力については、その事業に係る評価を行っているものである。
 かかるODA評価の整備を通じ、チェック体制の枠組みが整いつつあると認識しており、今後、効率性、有効性の観点を踏まえた評価を実施し、評価した結果をODA政策の企画・立案、実施に着実に反映させることを重視していく考えである。

一の3について

 現在、政府としては、内閣官房長官の下で開催された「海外経済協力に関する検討会」の報告書を踏まえ、ODAの実施機関の統合に向け、JICA及びJBICと連携しつつ、評価体制を含む実施体制づくりに係る検討を進めているところである。

二の1について

 一般論として言えば、一般プロジェクト無償資金協力による事業のコストが、他の非政府組織(以下「NGO」という。)等が実施する事業のコストを上回る事例においては、前者において、我が国の高度な技術を要する質の高い事業が行われていること等によるものと考えられる。しかし、事業の内容や質等を考慮することなくコストを一概に比較することは困難であり、改善を講じる必要があるかについても、個別に検討すべきものと考える。なお、我が国ODAでは、NGO等が実施する学校建設事業に対しても支援を行っている。

二の2について

 政府としては、我が国のODA事業としての適切な質を確保しつつも、予算の効率的な執行のためコスト削減に取り組んでいくことが重要であると考えている。このような観点から、政府はJICAと協力しつつ、従来より案件形成段階における支援対象の絞り込み、適正仕様及び適正規模の設定のためのJICAによる積算審査の強化、事業の実施段階における現地資機材の活用などの取組を進めている。また、平成十八年度からは、新たな手法として、現地仕様による設計及び施工段階における現地業者の積極的な活用を可能とするコミュニティ開発支援無償資金協力を導入するなどの取組を進めている。今後とも、我が国ODA事業の実施に際しては、被援助国の意向を十分確認しつつ、各援助手法の特徴を踏まえ、目的を達成する上で最適な手法を活用すること、包括的かつ実効的なコスト削減目標・計画を策定することなどにより、ODAの効率的な実施に努めていく考えである。