質問主意書

第165回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質一六五第四号
  平成十八年十月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員喜納昌吉君提出日米同盟の「双務性」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員喜納昌吉君提出日米同盟の「双務性」に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「「双務性」の負担」の内容が必ずしも明らかではないが、政府としては、厳しい財政事情にも十分配慮しつつ、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用の確保のため、在日米軍駐留経費負担につき適切に対応してきているところである。
 事務費等を除く在日米軍駐留経費負担に係る平成十七年度における決算額は約二千三百八十八億円であり、在日米軍駐留経費負担に係る平成十八年度における予算額は約二千三百二十六億円である。お尋ねの「「思いやり予算」以外の日米安全保障条約の関連支出」については、その内容が必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。

二について

 在日米軍の施設及び区域が所在する地方公共団体(以下「地元」という。)の負担については、政府としてこれを十分に認識している。今般の在日米軍の兵力構成の見直しは、在日米軍が有している抑止力を維持しつつ、地元の負担の軽減を図るものであり、政府としては、沖縄県等の地元の切実な声によく耳を傾け、地域振興策等についてもしっかり取り組むことにより、これを着実に実施していく考えである。

三について

 お尋ねの「平等化」の内容が必ずしも明らかではないが、政府としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)については、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えの下、引き続き運用の改善に努力していく考えである。

四について

 お尋ねの「「双務性」の一端を補っている」の内容が必ずしも明らかではないが、政府としては、装備品の取得については、性能及び価格に加え、維持、補給及び教育訓練の容易性、我が国独自の改善の必要性等も考慮した費用対効果に関する検討に基づき適切に判断してきたところである。

五について

 政府としては、「中期防衛力整備計画(平成十七年度~平成二十一年度)について」(平成十六年十二月十日閣議決定)、「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」(平成十八年五月三十日閣議決定)及び「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二○○六について」(平成十八年七月七日閣議決定)にあるように、厳しい財政事情の下、政府全体として一層の経費の節減合理化を行う中で、防衛関係費においても、国の他の諸政策との調和を図りつつ、更に思い切った合理化・効率化を行い、効率的な防衛力整備に努めることとしている。

六について

 お尋ねの「「双務性」の逸脱」の内容が必ずしも明らかではないが、政府としては、沖縄県に所在する海兵隊部隊のグアムへの移転については、在日米軍の施設及び区域が集中する沖縄県の負担の軽減にとって極めて重要であり、我が国としても所要の経費を分担し、これを早期に実現することとしている。

七及び八について

 安倍内閣総理大臣は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保するためには、その基礎となる日米両国間の信頼関係を常に確固たるものとしておく必要があり、そのためには、日米両国が日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)及び関連取極の下でそれぞれの能力に基づいて適切な貢献を行うべく平素から一層努力していかなければならないとの趣旨を「双務性を高める」努力として述べているものと承知している。
 なお、集団的自衛権については、政府としては、大量破壊兵器やミサイルの拡散、テロとの闘いといった国際情勢の変化や、武器技術の進歩、我が国の国際貢献に対する期待の高まりなどを踏まえ、日米同盟がより効果的に機能し、平和が維持されるようにするため、いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な例に即し、よく研究していく考えである。