質問主意書

第165回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一六五第三号
  平成十八年十月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員荒井広幸君提出消費者金融利用者及び多重債務者等の実態解明等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員荒井広幸君提出消費者金融利用者及び多重債務者等の実態解明等に関する質問に対する答弁書

一の1について

 貸金業者の全国信用情報センター連合会等の信用情報機関への加入は任意であること、複数の信用情報機関に加入している貸金業者があること等から、各信用情報機関の公表する登録件数等から御指摘の消費者向け無担保金融利用者の総数を推計することは困難である。

一の2及び3について

 消費者向け無担保金融利用者の総数を推計することが困難であること等から、お答えすることは困難である。

二の1について

 消費者金融連絡会に加盟する消費者向け無担保貸金業者(以下「大手消費者金融会社」という。)及び他の消費者向け無担保貸金業者等の消費者信用団体生命保険の付保状況については、平成十八年三月末における被保険者数は、それぞれ延べ九百九十三万二千四百十一人及び延べ三百五十万四千三十一人であると承知しているが、各社ごとの被保険者数については、各社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあること等のため、答弁を差し控えたい。
 なお、消費者向け無担保貸金業者等の消費者信用団体生命保険の平成十八年三月末における被保険者数は延べ千三百四十三万六千四百四十二人であると承知しているが、一の1についてで述べたとおり、消費者向け無担保金融の利用者の総数を推計することは困難であるため、御指摘の「割合」をお答えすることは困難である。

二の2について

 二の1についてで述べた延べ千三百四十三万六千四百四十二人の被保険者についての平成十八年三月期における一人当たりの支払保険料は約三千円であると承知しているが、その他のお尋ねについては、信用情報機関においても利用者の保険加入の有無は情報登録されていないため、お答えすることは困難である。

二の3について

 消費者信用団体生命保険の保険金額、保険期間及び保険料については、約款等において定められており、必ずしも一律のものではないと承知している。
 保険金については、約款等において定められているが、消費者信用団体生命保険は、保険金を被保険者の債務の弁済に充当することを目的とした保険であり、貸金業者が被保険者たる債務者に対して返済を求める金額を超えて保険金が支払われるものとはなっていないと承知している。
 「被保険者の借入金額別にみた支払件数」については承知していないが、平成十八年三月末において消費者信用団体生命保険に加入している消費者向け無担保貸金業者等の平成十七年度の実績によれば、一人当たりの平均支払保険金額は、約六十万円であると承知している。

二の4について

 消費者信用団体生命保険に関する被保険者の同意は、一般に、被保険者たる債務者と貸金業者が金銭消費貸借契約を締結する際に、書面により行われているものと承知している。
 保険会社は、保険金受取人に対し、死亡保険金の請求に際して住民票や医師の死亡診断書等の書類の提出を求めているが、死亡診断書等の提出の省略を認める場合があると承知している。

二の5について

 保険金の支払手続き等については、保険業法(平成七年法律第百五号)に基づく金融庁の認可を経た、各保険会社の約款で定められている。この約款においては、一般に、保険金受取人は、死亡保険金の請求に際し、住民票や医師の死亡診断書等の書類の提出が必要であること、保険会社はこれらの書類の一部の省略を認める場合があること、保険金は保険金受取人から請求書類が保険会社の本社に到達した日から一定期間内に支払うこと等が定められていると承知している。
 なお、金融庁の要請により社団法人生命保険協会が作成した「消費者信用団体生命保険の実務運営に関するガイドライン」において、消費者信用団体生命保険に関する適正な保険金支払実務の在り方として、保険金の支払請求時に「遺族に請求内容が了知されていることを保険会社が確認する必要がある」旨を明確化し、その遵守を促しているところであると承知している。

三の1について

 大手消費者金融会社各社の平成十八年三月期における有価証券報告書(以下「直近の有価証券報告書」という。)に記載されている、都市銀行、生命保険会社及び損害保険会社からの平成十八年三月末における一年以内返済予定長期借入金残高及び長期借入金残高の合計額は、次のとおりである。
 アコム株式会社においては株式会社三菱東京UFJ銀行百十億円、日本生命保険相互会社百十五億九千六百万円、第一生命保険相互会社三百二億三百万円及び明治安田生命保険相互会社六百三億四千八百万円、アイフル株式会社においては株式会社三菱東京UFJ銀行二百億円及び第一生命保険相互会社四百八十四億三千五百万円、株式会社武富士においてはアメリカンファミリー ライフ アシュアランス カンパニー オブ コロンバス二百億円、プロミス株式会社においては株式会社三菱東京UFJ銀行百四十九億三千八百万円、株式会社三井住友銀行五百五億七千二百万円、日本生命保険相互会社七百九十三億四千万円、第一生命保険相互会社百三十九億六千九百万円、明治安田生命保険相互会社二百七十五億六千三百万円及び住友生命保険相互会社三百億五千九百万円、三洋信販株式会社においては株式会社三井住友銀行百六十六億一千五百万円、第一生命保険相互会社四十億九千八百万円、明治安田生命保険相互会社三十八億七千五百万円及び三井生命保険株式会社三十九億六千百万円となっている。
 また、プロミス株式会社の直近の有価証券報告書においては、平成十八年三月末における株式会社三井住友銀行からの短期借入金残高が五十四億三千二百万円である旨が記載されている。
 なお、御指摘の貸付金利については、直近の有価証券報告書において示されていない。

三の2について

 大手消費者金融会社各社の直近の有価証券報告書に大株主として記載されている都市銀行、生命保険会社及び損害保険会社による株式所有割合は、プロミス株式会社においては株式会社三井住友銀行二○・二二パーセント及び日本生命保険相互会社四・二三パーセントである。なお、アコム株式会社の直近の有価証券報告書においては、都市銀行を傘下に有する持株会社である株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループによる株式所有割合が十二・九九パーセントとなっている。
 また、生命保険会社における直近の有価証券報告書に大株主として記載されている大手消費者金融会社の株式所有割合は、大和生命保険株式会社においては三洋信販株式会社三・五八パーセントである。なお、生命保険会社を傘下に有する持株会社であるアクサ ジャパン ホールディング株式会社の直近の有価証券報告書においては、株式会社武富士による株式所有割合は○・○六パーセントとなっている。
 都市銀行各行及び損害保険会社各社における直近の有価証券報告書において、大手消費者金融会社各社が大株主として記載されているものはない。
 御指摘の人的交流の状況について、大手消費者金融会社各社における直近の有価証券報告書において記載されている者の現役職、入社時期及び出身金融機関・最終役職は、次のとおりである。
 (1)アコム株式会社
 取締役、平成十八年六月、株式会社三菱東京UFJ銀行・取締役副頭取。
 常勤監査役、平成十六年六月、旧明治損害保険株式会社(現明治安田損害保険株式会社)・常務取締役。
 (2)株式会社武富士
 取締役兼執行役員、平成十七年五月、旧株式会社協和銀行(現株式会社りそな銀行)。
 (3)プロミス株式会社
 取締役常務執行役員、平成十八年六月、株式会社三井住友銀行・千葉東法人営業部長。
 取締役専務執行役員、平成七年四月、日本生命保険相互会社・国際保険部長。
 (4)三洋信販株式会社
 代表取締役社長、平成十八年四月、株式会社三井住友銀行・専務取締役。
 取締役、平成十四年六月、旧株式会社さくら銀行(現株式会社三井住友銀行)・代表取締役会長。
 取締役常務執行役員、平成十二年七月、旧株式会社さくら銀行(現株式会社三井住友銀行)・大阪支店営業第一部長。
 なお、直近の有価証券報告書において、都市銀行各行、生命保険会社各社及び損害保険会社各社に大手消費者金融会社各社における経歴を有する旨が記載されている者はいない。

三の3について

 国家公務員の退職後における再就職の状況は、公務を離れた個人に関する情報であり、一般に政府が把握すべき立場にないことから、金融庁に在籍したすべての職員の再就職状況についてお答えすることは困難であるが、金融庁において国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百三条第三項の規定に基づく承認手続を行い、人事院の承認を得て、都市銀行、社団法人生命保険協会若しくは社団法人日本損害保険協会に加盟する会社又は大手消費者金融会社各社に再就職した者は、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)第三条第一項に基づき採用され任期満了により退職した者一名であり、役職は「インベストメント・アクチュアリー」となっている。

四について

 金融庁においては、金融機関に対する立入検査、報告徴求、日常のヒアリング等を通じて、日頃から金融機関の実態把握に努めているところである。把握した情報については、信用秩序の維持や金融機関の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ等の事情を勘案しつつ、必要に応じ、これを開示している。