質問主意書

第165回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四六号

教科用図書採択の公正確保に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年十二月十四日

福島 みずほ   


       参議院議長 扇 千景 殿



   教科用図書採択の公正確保に関する質問主意書

 文部科学省は二〇〇五年四月五日、二〇〇六年度より義務教育諸学校において使用されている教科用図書の検定結果を公表した。翌日の四月六日の衆議院文部科学委員会では、扶桑社版公民教科書の監修者が二〇〇四年一二月六日付けで著作編修関係者名簿から削除申請された事実が明らかとなった。この一二月六日という日付は、削除申請された監修者が、埼玉県教育委員に起案された日付と同一日であったことから、削除申請の理由と監修の事実の有無が大変な関心事となっていた。ところが、文部科学省が委員会の答弁で「理由を問わない」としたことから、現在に至るまで事実関係が明らかにされていない。事実関係によっては地方教育行政の組織及び運営に関する法律第十三条第五項の重大な違反となる。削除申請された監修者は、当初「教科書には一切関わっていない」と発言していたが、四月二五日に文部科学省が著作編修関係者名簿を公開したことから、一転して当該教科書の採択に関わる審議では退席することを明らかにした。文部科学省がこのまま申請理由を不問に付せば、一部の違法な行為を追認しているのではないかというそしりを受けかねない。
 そこで、厳正に対処することが不可欠であるとの観点から、以下質問する。

一 扶桑社版公民教科書の監修者の削除申請は、情報公開された著作編修関係者名簿記載事項変更届で明らかとなった。それによると、一二月六日に届を提出したのは「株式会社扶桑社」、申請図書の名称は「中学社会 新訂版 新しい公民教科書」、著作者の氏名は「代表者 八木秀次」、目的とする学校、学科、種目及び学年は「中学校 社会(公民的分野)」、訂正箇所は「高橋史朗 明星大学教授 教育学 政治の監修→削除」となっている。
 実際に執筆及び監修をしていないにもかかわらず、執筆者及び監修者として申請することは虚偽申請にあたると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 執筆者及び監修者として申請され、実際に執筆及び監修をしているにもかかわらず、削除申請された場合も虚偽にあたると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 虚偽であるか否かを判断するための有効な手段の一つが、申請の理由を明らかにすることである。文部科学省が申請の理由を問うのは当然と考えるが、政府の見解を示されたい。また、申請の理由を問わないのであれば、その理由を明らかにされたい。

  右質問する。