質問主意書

第165回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四二号

久間章生防衛庁長官の「緊急時の核搭載艦による領海通過容認」発言に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年十二月十四日

福島 みずほ   


       参議院議長 扇 千景 殿



   久間章生防衛庁長官の「緊急時の核搭載艦による領海通過容認」発言に関する質問主意書

 本年十一月十六日に放映されたテレビ番組において、久間章生防衛庁長官は、米軍の核搭載潜水艦などが日本領域をかすめる場合、「『持ち込み』にはならない」と発言した。その後、安倍晋三内閣総理大臣は、非核三原則を堅持することを表明したが、一方で非核三原則の解釈及び核保有について、安倍内閣の閣僚から様々な発言が続いている。久間防衛庁長官の発言及び内閣の姿勢を明らかにするため、以下質問する。

一 緊急時における核搭載艦の日本領海通過容認発言について

1 「緊急時」とは、どのような状態を指すのか。
2 「緊急時」であると認定するのは、日本政府と米国政府のどちらなのか明らかにされたい。
3 「緊急時」を日本政府が認定するのであれば、日本政府は、どのような条約、法律等に基づいて判断するのか、具体的に示されたい。
4 「通過」とは、領海内のどの程度までの進入を言うのか、具体的に示されたい。
5 「通過」には、核搭載艦による警備等を含む防衛上の目的で通過すること又はとどまることも含まれるか。
6 「核搭載艦」とは、どのような装備の搭載を指しているのか、具体的に示されたい。
7 緊急時における核搭載艦の日本領海通過を容認できるのであれば、その場合の日本の法的根拠は何か。
8 緊急時において核搭載艦が日本領海を通過する場合は、事前通告や事前協議は行われるか。
9 緊急時において核搭載艦が日本領海を通過する場合で、事前通告や事前協議が行われない場合でも、少なくとも事後協議は行われるのか。
10 事前通告、事前協議、事後協議の内容について、国民にはどのように報告するのか。
11 日本政府は、核搭載艦が日本領海を通過したかどうかをどのように検証するのか。
12 これまでに、緊急時における核搭載艦の日本領海通過の許可について、日米政府間で議論は行われているのか。行われているのであれば、いつ、どのような議論が行われたのか、明らかにされたい。

二 緊急時における核搭載艦による日本領海通過容認発言に対する内閣の立場について

1 緊急時における核搭載艦による領海通過は、非核三原則に反すると考えるが、政府の見解を示されたい。
2 安倍内閣総理大臣は、本年十一月三十一日に、非核三原則を堅持する立場を表明している。久間防衛庁長官の発言は、安倍内閣総理大臣の立場とは異なるという理解でよいか。
3 核保有に関して、閣僚から安倍内閣総理大臣の立場と異なる発言が繰り返されていることについて、どのように考えるか。政府の見解を示されたい。

三 非核三原則の変更について

 現在、防衛庁を「防衛省」にするための法案が国会で審議されている。防衛庁が防衛省になった場合、日本政府が堅持するとしている非核三原則を変更する、又は異なる解釈を示すことがあり得るか。

  右質問する。