質問主意書

第165回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三九号

道州制特別区域の設定による事務・事業の移譲及び憲法第九十五条に基づく住民投票等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年十二月十四日

峰崎 直樹   


       参議院議長 扇 千景 殿



   道州制特別区域の設定による事務・事業の移譲及び憲法第九十五条に基づく住民投票等に関する質問主意書

 道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律(以下「本法律」という。)の審査過程において、平成十八年十一月八日の衆議院内閣委員会では、枝野幸男議員の質疑に対して、政府は、本法律については憲法第九十五条に規定する住民投票は必要ない旨を答弁するとともに、特に本法律第七条について、北海道のみ権限が拡大されることはない旨の答弁をしている。
 一方、同年十二月五日の参議院内閣委員会では、私が、本法律第七条第二項第四号に関連して、民有林の直轄治山事業と開発道路に係る直轄事業は、自治事務に該当するかと質疑したところ、林芳正内閣府副大臣は、「そういうことでございます」と答弁した。また、山崎史郎政府参考人は、「つまり、現行におきましては、今申し上げましたように、この部分というのは正に国の事務として行っているわけでございますので、この法案によって実際にこれが特定広域団体の方に事務が移るわけでございますが、・・・」と答弁した。さらに、自治事務について、土屋正忠総務大臣政務官は、「自治事務か法定受託事務かというのは、それぞれの地方自治体が自立的、自主的にやる事務か、あるいは国がやるべきかという、こういう区分でございます」と答弁した。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 憲法第九十五条に規定する住民投票を実施することが必要とされる法律とは、具体的にどのようなものであるのか政府の見解を示されたい。

二 地方自治体の組織、運営又は権限の側面から見た場合、自治事務及び法定受託事務は、どのように定義され、また位置付けられることになるのか。政府の見解を示されたい。

三 現在国が行っている事務を、政府が「地方自治体が自立的、自主的に行う事務」と答弁している自治事務として自治体に移譲することは、権限の移譲に該当するのではないか。政府の見解を示されたい。また、該当しないのであれば、その理由について明らかにされたい。

四 本法律第七条第二項第四号に定める事業が北海道に移譲されることによって北海道のみ権限が拡大するならば、憲法第九十五条に規定する住民投票が必要ではないか。政府の見解を示されたい。

五 森林法第四十一条第三項に規定する保安施設事業について、実態として、都道府県知事が申請をし、農林水産大臣が保安施設地区として指定したことはあるのか。また、あるとすれば、何件あるのか。それぞれ明らかにされたい。

六 法の運用に当たっては、法文の形式的な解釈のみならず、現実の法の運用状況や実態を踏まえて運用すべきと考えるが政府の見解を示されたい。また、そのような観点から、本法律第七条第二項第四号に定める事業の移譲による権限の移譲の有無を判断すべきと考えるが政府の見解を示されたい。

  右質問する。