質問主意書

第165回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二六号

ODA事業の適正な執行に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年十一月二十二日

藤末 健三   


       参議院議長 扇 千景 殿



   ODA事業の適正な執行に関する質問主意書

 ODAは日本の国際貢献の方法として重要な役割を担っているが、現在のODAの実態は、国民の税金が適切に使われているか不透明な状況にある。援助対象国のみならず、日本国民にとっても納得できる形で、適切にODA事業が行われるようにするためには、外務省の不断の努力が必要となる。
 そこで、以下質問する。

一 私は、本年四月五日及び五月二十九日の参議院決算委員会において、平成十六年度無償資金協力事業における落札率の高さについて質疑をしたが、その後、この状況は改善されたのか明らかにされたい。また、政府は、改善のためにどのような施策を講じたのか明らかにされたい。

二 本年十月十四日付けの読売新聞(以下「新聞記事」という。)は、平成十七年に行われた東南アジア及び東アジアにおける小学校建設工事の担当事業者の選定を行うための入札に際し、談合が行われているとの疑いを指摘した。外務省は、報道された入札案件に関する事実関係をどのように把握しているか明らかにするとともに、談合の疑いについても見解を示されたい。また、ODA事業の事業者を決める際の選定基準についても明らかにされたい。

三 新聞記事によると、平成十七年度分の建設工事のうち、予定価格が公表されている七十一件の平均落札率は九七・八パーセントであるが、新規参入業者が落札した二件の事業は、平均よりも一〇パーセント以上低く落札されているという。新規参入業者の落札率が平均を大きく下回っていることは、従来は談合が行われてきたことを示すものではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 無償資金協力事業のうち、食糧援助や貧困農民支援事業について、予定価格を公表しない理由を明らかにされたい。

五 独立行政法人国際協力機構、国際協力銀行及び財団法人日本国際協力システムの職員が、建設業界又はコンサルタント業界に転職した事例、あるいはその逆の事例はあるのか明らかにされたい。ある場合は、過去五年間における前記機関及び企業ごとの人数を明らかにされたい。

六 有償資金協力として行われた事業のうち、相手国から我が国に対し返済が行われていない事業の件数及び事業金額を明らかにされたい。また、返済が行われていない事業に対してどのような対策が講じられたのか明らかにされたい。

  右質問する。