質問主意書

第165回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四号

防衛庁パンフレット「防衛庁を省に」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年十月三十一日

藤末 健三   


       参議院議長 扇 千景 殿



   防衛庁パンフレット「防衛庁を省に」に関する質問主意書

 現在、防衛庁の省への移行、国際平和協力活動等の本来任務化及び安全保障会議の諮問事項への明示を一括して措置すること等を内容とする防衛庁設置法等の一部を改正する法律案が審議されている。防衛庁から省への移行について、政府、特に防衛庁は「防衛庁を省に」(以下「本パンフレット」という。)を作成していることからも、その実現への想いの強さが垣間見られる。しかし、本パンフレットに記載されている内容について、疑問を禁じ得ない。
 本パンフレットのQ2「庁のままだと何が困るのですか?」との問いに対し、「防衛庁長官が防衛庁のトップではあるが、『国の防衛』の主任の大臣でない。このため、内閣府の主任の大臣である内閣総理大臣を通じなければ重要な仕事(①国の防衛に関する重要案件について閣議を求めること、②法律の制定や高級幹部の人事について閣議を求めること、③予算の要求や執行を財務大臣に求めること)をできない仕組みになっている。省にすることにより、安全保障や危機管理の問題に『国の防衛』の主任大臣として取り組める」旨の答えがなされ、特に閣議請議が防衛庁長官単独でできない仕組みであることを主な理由に挙げて、防衛庁の省昇格の重要性を述べている。
 閣議請議の根拠としては、内閣府設置法第七条第二項及び国家行政組織法第十一条により、内閣府の長としての内閣総理大臣又は各省大臣は、それぞれ法律若しくは政令の制定、改正又は廃止を必要と認めるときは、案をそなえて、各省大臣においては内閣総理大臣に提出して、それぞれ閣議を求めなければならない旨の規定がある。一方で、内閣法第四条第三項では、「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。」との規定がある。その解釈については、平成九年二月二十五日衆議院予算委員会で大森内閣法制局長官が「・・・純法律上の解釈論といたしますと、国務大臣は、事務次官等会議を経ることなく、また主任の大臣でない大臣も、案件を内閣総理大臣に提出して閣議を求めることは可能でございます。」との答弁を行っており、この答弁からすると、国務大臣である防衛庁長官単独で閣議請議ができると思われる。
 そこで、以下質問する。

一 本パンフレットに記載されている閣議請議が防衛庁長官単独でできない仕組みであるとの説明は、内閣法第四条第三項及び内閣法制局長官答弁と矛盾していないか。矛盾しているか否か、その理由も併せて政府の見解を明らかにされたい。また、そのような理由でもって防衛庁の省昇格の必要性を述べることは問題ではないか。政府の見解を明らかにされたい。

二 内閣法第三条(行政の分担管理、無任所大臣)及び第四条(閣議)の規定と防衛庁長官の閣議請議についての政府の見解を説明されたい。

  右質問する。