質問主意書

第164回国会(常会)

答弁書


答弁書第八三号

内閣参質一六四第八三号
  平成十八年六月二十二日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員簗瀬進君提出我が国の基礎的な情報管理システムに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員簗瀬進君提出我が国の基礎的な情報管理システムに関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、膨大な作業が必要であるため、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、宮内庁、公正取引委員会、法務省、国税庁において、アクセンチュア株式会社と委託契約を締結している。
 なお、一般に、守秘義務については、契約上知り得た秘密を他に漏らし、又は他の目的に使用してはならない旨が契約で定められている。

二について

 お尋ねについては、公正な競争を損なうおそれがあるため、お答えすることは差し控えたい。

三の1について

 法務省においては、アクセンチュア株式会社から、生体情報認証技術を利用したシステムに関する知識及び経験を有し、同社の経営戦略の一環として応札したものである旨の説明を受け、契約の内容に適合した履行が可能であると判断したものである。

三の2について

 現在、成田空港において行っている出入国審査プロトタイプシステムの実証実験及び試行運用で使用されている機器の納入業者は、沖電気株式会社のほか、日本電気株式会社である。また、当該実証実験及び試行運用の後に導入する予定である生体情報認証技術を利用した出入国審査システム(以下「生体情報システム」という。)に関連する機器の納入業者は未定である。
 法務省としては、生体情報システムに要する経費については、詳細なシステム構成が定まっていないため、確定的なことは申し上げられないが、一定の条件の下でシステム構成を仮定して試算したところ、年間に約四十五億円から約七十億円の経費が必要となると考えている。

三の3について

 法務省においては、御指摘の費用負担関係について調査した事実はなく、また、その内容は把握していない。

三の4について

 お尋ねについては、政府として承知する立場にはないが、米国政府とアクセンチュア社米国法人とがUS―VISITプログラムのシステムに係る業務委託契約を締結した事実は承知している。

三の5について

 我が国において構築することを予定している生体情報システムの構築のためのオペレーティング・システム、ソフトウェア及びデータ形式については、今後のシステムの設計開発において具体的に決定されるものであるが、US―VISITプログラムのシステムと同じシステムの構築を目指している、又はUS―VISITプログラムのシステムと技術的にデータの共有を可能にすることを目指しているということはない。

三の6について

 現在のところ、米国政府が我が国政府にUS―VISITプログラムのシステムの運用を通じて得た情報を提供するか否かについては確認していない。

三の7について

 平成十八年三月三十一日に法務省情報化統括責任者が決定した「出入国管理業務の業務・システム最適化計画」の策定支援業務に係るアクセンチュア株式会社との契約に当たり、法務省として、US―VISITプログラムのシステムとの相互運用について念頭に置いたことはない。

三の8について

 米国連邦議会においては、国土安全保障省関連予算案の審議に際し、二千四年六月九日に、下院歳出委員会で、御指摘のような措置に係る予算修正案が可決されたが、同月十八日に、下院本会議で、当該予算修正案が否決されたと承知している。
 「日本の公共部門のコンピューター製品及びサービスの調達に関する措置について」(平成四年一月二十日アクション・プログラム実行推進委員会決定)では、「公共部門におけるコンピューター製品・・・及びコンピューターサービス・・・の調達において、無差別待遇、透明性及び公正でかつ開かれた競争という原則に立脚した取引機会を拡大するために、日本政府・・・は、公共部門の調達手続の一層の改善に積極的に努める。そのために、政府は、競争力のある外国系コンピューター製品及びサービスの調達拡大という目的を持ちつつ・・・日本の公共部門のコンピューター製品及びサービスの調達に関する措置・・・を実施する。」とされており、今般の法務省入国管理局におけるアクセンチュア株式会社との契約に係る調達もこれに従って実施したものである。

四の1及び2について

 御指摘の「取り決め」はなく、協議も行われていない。

四の3について

 お尋ねの点については検討しておらず、お答えすることは困難である。

五について

 御指摘の文書は、いずれも法務省が作成したものである。
 なお、法務省においては、御指摘の文書に係るシステムの刷新可能性調査を実施したり、見直し方針や最適化計画を策定するに当たり、これに必要な事務の一部を民間業者に委託している例があり、アクセンチュア株式会社に対しては、「出入国管理業務の業務・システム最適化について」、「外国人登録証明書調製業務の業務・システム最適化について」及び「出入国管理業務の業務・システム最適化について(出入国管理業務の業務・システム見直し方針及び外国人登録証明書調製業務の業務・システム見直し方針を最適化計画において統合)」に係るシステムの刷新可能性調査の実施並びに見直し方針及び最適化計画の案の作成を委託しており、また、「刷新可能性調査報告書」で同社について言及されているのは、同報告書に係る調査が、いわゆるレガシーシステムについて、同システムと関係がない第三者に調査をさせて、同システムの刷新の可能性の有無、その程度等を明らかにすることを目的とするものであることから、当該第三者である同社の調査結果を同報告書にそのまま記載することとしたためである。

六について

 政府が平成十八年三月に導入したIC旅券については、国際民間航空機関において定められたIC旅券に関する国際標準で、必ず記録することとされ記録に係る技術仕様が確定されている顔写真のみを記録することを前提として、記録媒体の容量や旅券発給システムの設計が行われており、現行の我が国のIC旅券に指紋や手指の静脈のデータを記録することはできない。また、御指摘のような協議がされているとの事実はない。