質問主意書

第164回国会(常会)

答弁書


答弁書第七六号

内閣参質一六四第七六号
  平成十八年六月二十日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員谷博之君提出ベトナム中部の水力発電事業への国際協力銀行融資に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷博之君提出ベトナム中部の水力発電事業への国際協力銀行融資に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 国際協力銀行(以下「JBIC」という。)によると、ベトナム電力公社がベトナム中部クアンナム省ドンジャン郡に二百十メガワットの水力発電所を建設するアーヴオンプロジェクト(以下「本プロジェクト」という。)については、平成十七年九月に、我が国の企業が、国際競争入札の結果、発電設備及び周辺機器の供給及び据付けに係る輸出入契約をベトナム電力公社との間で締結しているとのことである。
 JBICの「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」(以下「環境ガイドライン」という。)においては、原則として、「プロジェクトの実施地における政府(国政府及び地方政府を含む)が定めている環境社会配慮に関する法令、基準を遵守しなければならない」と規定されていると承知している。
 JBICによると、ベトナム電力公社は、JBICに対して、必要とされる適正な手続を完了したとの見解を示したとのことであり、JBICは、他のベトナムの関係政府機関等に、現在、その詳細につき確認中であるとのことである。
 政府としては、JBICが、本プロジェクトに対する融資を検討していくに当たり、ベトナムの国内法である「環境保護法」も含めたプロジェクトの実施地における国及び地方政府が定めている法令、基準等を確認の上、環境ガイドラインに基づいて、適切に対応するものと承知している。

三について

 JBICによると、環境影響評価報告書が承認された平成十六年八月までに、本プロジェクトにおけるダム本体、発電所、転流工、鉄管路、取水口、導水路等についてどの程度の工事が行われたのかについては、現在のところ承知していないとのことである。
 JBICによると、本プロジェクトに対する融資を検討していくに当たり、今後、環境影響評価報告書の承認以前にどの程度の工事が行われたのかについて、本プロジェクトの実施主体であるベトナム電力公社を始めとするベトナムの関係政府機関等に確認の上、環境ガイドラインに基づいて、適切に対応するとのことである。

四について

 JBICによると、本プロジェクトの平成十六年八月までの工事自体や掘り出された土砂の処理が及ぼす自然・社会影響について、ベトナム電力公社が、環境影響評価報告書に記載されている緩和策以外に、どのようなベトナムの国内法上の根拠に基づく評価をして緩和策を講じたかについては、現在のところ承知していないとのことである。
 JBICによると、本プロジェクトに対する融資を検討していくに当たり、今後、ベトナム電力公社が環境影響評価報告書に記載されている緩和策以外に講じた緩和策について、本プロジェクトの実施主体であるベトナム電力公社を始めとするベトナムの関係政府機関等に確認の上、環境ガイドラインに基づいて、適切に対応するとのことである。

五について

 JBICによると、本プロジェクトの建設地に現地の少数民族であるカトゥー族約三百三十世帯が居住していたが、既に三つの再定住地区への移転が完了している旨をベトナムの関係政府機関等から聴取したとのことである。
 JBICによると、本プロジェクトに対する融資を検討していくに当たり、御指摘の現地新聞の報道の内容も含め、ベトナム電力公社による生計回復プログラムの内容及び実施状況について、本プロジェクトの実施主体であるベトナム電力公社を始めとするベトナムの関係政府機関等に確認の上、環境ガイドラインに基づいて、適切に対応するとのことである。

六について

 JBICによると、ベトナム電力公社が斜面崩落防止対策等について検討中である旨をベトナム電力公社から聴取したとのことである。
 JBICによると、本プロジェクトに対する融資を検討していくに当たり、ベトナム電力公社が検討している斜面崩落防止策等について、ベトナム電力公社を始めとするベトナムの関係政府機関等に確認の上、環境ガイドラインに基づいて、適切に対応するとのことである。

七について

 JBICによると、「地域住民等のステークホルダー」との協議の記録(以下「協議記録」という。)の有無及びその内容について、現在、確認中であるとのことである。
 JBICによると、本プロジェクトに対する融資を検討していくに当たり、協議記録の有無及びその内容について、ベトナム電力公社を始めとするベトナムの関係政府機関等に確認の上、環境ガイドラインに基づいて、適切に対応するとのことである。

八について

 JBICによると、環境影響評価報告書には、絶滅のおそれがある野生生物の保護、生息地保全対策等は記述されていないと承知しており、この点について、ベトナムの国内法である「環境保護法実施のための政令一七五/CP」に違反しているかに関するベトナム政府の見解について、現在、確認中であるとのことである。
 政府としては、JBICが、本プロジェクトに対する融資を検討していくに当たり、絶滅のおそれがある野生動物の保護、生息地保全対策等については、「環境保護法実施のための政令一七五/CP」も含めたプロジェクトの実施地における国及び地方政府が定めている法令、基準等を確認の上、環境ガイドラインに基づいて、適切に対応するものと承知している。

九について

 JBICによると、御指摘の現地新聞の報道がなされたことは承知しており、現在、その事実関係も含めて内容を確認中であるとのことである。
 JBICによると、本プロジェクトに対する融資を検討していくに当たり、現地新聞の報道の内容も含め、ベトナム電力公社による生計回復プログラムの内容及び実施状況について、本プロジェクトの実施主体であるベトナム電力公社を始めとするベトナムの関係政府機関等に確認の上、環境ガイドラインに基づいて、適切に対応するとのことである。

十について

 JBICによると、本プロジェクトの代替案の検討が行われたか否か等について、現在、確認中であるとのことである。
 JBICによると、本プロジェクトに対する融資を検討していくに当たり、事業計画段階における代替案についての検討の有無及びその内容について、本プロジェクトの実施主体であるベトナム電力公社を始めとするベトナムの関係政府機関等に確認の上、環境ガイドラインに基づいて、適切に対応するとのことである。

十一について

 JBICによると、環境影響評価報告書の指摘が本プロジェクトの設計に反映されているか否かについて、現在、確認中であるとのことである。
 JBICによると、本プロジェクトに対する融資を検討していくに当たり、環境影響評価報告書の指摘が本プロジェクトの設計に反映されているか否かについて、本プロジェクトの実施主体であるベトナム電力公社を始めとするベトナムの関係政府機関等に確認の上、環境ガイドラインに基づいて、適切に対応するとのことである。

十二について

 JBICによると、本プロジェクトによるダム下流への土砂供給量の減少並びにそれに伴う自然生態系及び周辺住民の生活への影響についての調査が行われたか否かについて、現在、確認中であるとのことである。
 JBICによると、本プロジェクトに対する融資を検討していくに当たり、ダム下流への土砂供給量の減少の可能性及びその影響について、本プロジェクトの実施主体であるベトナム電力公社を始めとするベトナムの関係政府機関等に確認の上、環境ガイドラインに基づいて、適切に対応するとのことである。