質問主意書

第164回国会(常会)

答弁書


答弁書第五三号

内閣参質一六四第五三号
  平成十八年五月十二日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員山下八洲夫君提出JR総連・JR東労組などJR労組に浸透する革マル派の実態等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山下八洲夫君提出JR総連・JR東労組などJR労組に浸透する革マル派の実態等に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(以下「革マル派」という。)は、共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団であり、約五千四百人の活動家等を擁していると見ている。革マル派は、他の極左暴力集団と比較しても非公然性が極めて強い組織であり、これまでにも、火炎びんの使用等の処罰に関する法律(昭和四十七年法律第十七号)違反事件や対立するセクトとの間での殺人事件等、多数の刑事事件を引き起こしているところである。
 革マル派は、現在、将来の共産主義革命に備えるため、その組織拡大に重点を置き、周囲に警戒心を抱かせないよう党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っており、例えば、全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)及び東日本旅客鉄道労働組合(以下「JR東労組」という。)内において、影響力を行使し得る立場に革マル派活動家が相当浸透していると見られるところである。
 このため、警察としては、JR総連及びJR東労組という公共交通機関の労働組合における革マル派の動向について、公安の維持の観点から重大な関心を払っている。
 また、革マル派に関係する組織としては、その学生部門の傘下にある革マル派系の全日本学生自治会総連合等があり、革マル派の書籍として「日本労働運動に炎を」等が、その機関誌として「新世紀」が、その機関紙として「解放」が発行されているものと承知している。

三について

 お尋ねの原因については、革マル派が巧妙に党派性を隠してJR総連及びJR東労組に浸透していること等が考えられる。
 警察としては、革マル派の動向について重大な関心を持ち、革マル派の実態解明に努めるとともに、刑罰法令に触れる行為があると認める場合には、引き続き、厳正に対処していくこととしている。

四について

 警察としては、JR総連及びJR東労組への革マル派の浸透について、広報誌を配布するなどして、必要な情報を提供するとともに、革マル派の実態と危険性について注意を喚起しているところである。
 お尋ねの懸念の有無については、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

五について

 革マル派は、労働運動を通じた組織の維持及び拡大を図るため、JR総連又はJR東労組と対立する労働組合及び旅客鉄道株式会社の関係者に対する住居侵入等の違法行為を伴う調査活動を行うこと等が懸念されるところである。

六について

 革マル派には、労働運動の指導に当たる中央労働者組織委員会があり、その中に通称「トラジャ」と呼ばれる組織が存在していること並びに「トラジャ」の指導の下に在る組織としてJR総連及びJR東労組にいる革マル派活動家の指導に当たる通称「マングローブ」と呼ばれるものが存在していることが確認されているが、その実態等については、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

七について

 お尋ねの実態については、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

八について

 お尋ねの実態等については、警察等において鋭意解明に努めていくこととしている。

九について

 御指摘の捜索は、JR総連等の関係者による業務上横領の容疑で、平成十七年十二月七日以降、警視庁が六都県のJR総連事務所等二十四か所について実施した捜索を指すものと考えられるが、お尋ねの点については、捜査の具体的内容にかかわる事柄であることから、答弁を差し控えたい。

十について

 革マル派は、現在、組織拡大に重点を置き、党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っており、その理由の一つに、御指摘の活動資金の獲得もあるものと見られるが、お尋ねの実態については、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、答弁を差し控えたい。
 また、御指摘の「関係団体」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、政府としては、少なくともJR東労組の経理手続について指導等を行う立場にない。

十一について

 お尋ねのJR西日本労働組合への革マル派の浸透の実態等については、警察等において鋭意解明に努めていくこととしている。