質問主意書

第164回国会(常会)

答弁書


答弁書第四九号

内閣参質一六四第四九号
  平成十八年四月二十八日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員前川清成君提出アイフル株式会社に対する業務停止処分に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員前川清成君提出アイフル株式会社に対する業務停止処分に関する質問に対する答弁書

一について

 警察当局においては、刑罰法令に触れる行為があると認める場合には、厳正に対処することとしているが、個別の事案について警察当局が捜査しているか否かについては、答弁を差し控えたい。

二について

 金融庁及び近畿財務局としては、平成十八年四月十四日のアイフル株式会社(以下「アイフル」という。)に対する業務停止処分に関する事実関係について、警察当局に連絡や情報提供を行っているところである。

三について

 金融庁長官は、貸金業の規制等に関する法律(昭和五十八年法律第三十二号。以下「貸金業規制法」という。)第四十五条及び貸金業の規制等に関する法律施行令(昭和五十八年政令第百八十一号。以下「貸金業規制法施行令」という。)第六条の規定に基づき、アイフルに対する検査及び監督の権限を近畿財務局長に委任している。近畿財務局は、貸金業規制法に基づき、予告なしに、平成十七年六月七日から同年十月十四日までアイフルに対して立入検査を行い、同年十二月二十日にアイフルに対して検査結果を通知するとともに、財務局に寄せられたアイフルについての苦情等を分析し、アイフルに対して業務に関する報告を行わせた。「調査に要した人員、日数」については、アイフルに対する立入検査が行われる以前から苦情等の分析を進めてきたこと等もあり、お答えすることは困難である。

四について

 近畿財務局は、三についてで述べた苦情、検査結果、業務に関する報告等の資料に基づき、五件の法令違反の事実を認定し、アイフルに対して業務停止処分を行った。

五及び六について

 貸金業者に対して行政処分を行うに足りる事実関係が認められると判断した場合には、従来より、その貸金業者がその事実関係を認めているか否かに関わらず、貸金業規制法に基づき、厳正に行政処分を行っている。近畿財務局は、四についてで述べた資料に基づき、五件の法令違反の事実を認定し、アイフルに対して業務停止処分を行った。

七及び九について

 一般に、貸金業者に対して行政処分を行うに当たっては、関係者に対するヒアリング、貸金業規制法に基づく立入検査及び報告徴収、関連する民事裁判及び刑事裁判等により事実関係の把握に努め、行政処分を行うに足りる事実関係が認められると判断した場合には、貸金業規制法に基づき、厳正に行政処分を行い、これを公表しているが、行政処分を行っていない個別の事案に対する対応については、これを公にすることにより、当該貸金業者の権利又は競争上の地位を害するおそれがあるため、答弁を差し控えたい。

八について

 貸金業規制法第四十五条の規定に基づき内閣総理大臣から金融庁長官に委任された貸金業者に対する監督の権限は、貸金業規制法施行令第六条の規定に基づき財務局長又は財務支局長に委任されている。平成十八年四月現在で貸金業者の監督の事務に従事する課長以下の職員は、貸金業者以外の金融機関等の監督の事務も併せて行っている者も含め、北海道財務局において二十名、東北財務局において二十五名、関東財務局において四十七名、北陸財務局において十一名、東海財務局において十六名、近畿財務局において二十二名、中国財務局において十七名、四国財務局において十三名、九州財務局において十三名、福岡財務支局において十一名及び内閣府沖縄総合事務局において四名である。
 財務局及び財務支局にあっては理財部金融監督第二課(関東財務局にあっては金融監督第四課、近畿財務局にあっては金融監督第三課)及び財務事務所理財課(東京財務事務所にあっては理財第二課、新潟財務事務所及び神戸財務事務所にあっては理財第一課)において、北海道財務局にあってはこれらのほか小樽出張所財務課及び北見出張所財務課において、内閣府沖縄総合事務局にあっては財務部金融監督課において、貸金業者の監督の事務を行っている。

十について

 アイフルは、顧客がその不動産担保物件を換価して返済することを計画していないにもかかわらず、その顧客の収入状況から判断すると、その不動産担保物件を換価する以外に合理的な返済方法がなく、顧客の返済能力を超えると認められる貸付けの契約を締結しており、この事例についてはアイフルが公表している。

十一について

 アイフルについては、法令違反の事実に関して、社内規定等が不備であり、取立て行為に関する指導が徹底されていなかったことなど、本社において違反行為を未然に防止するための適切な対応が講じられていなかったことが認められたため、これまでの行政処分の前例にも照らし、違反行為のあった営業所に対して業務停止処分を行うだけでなく、全ての営業所に対して三日間の業務停止処分を行うこととした。

十二について

 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)等において、貸金業者と金融機関との間の「業務提携」についての明文の規定はない。金融庁としては、金融機関に対する適切な監督に努めているところであるが、個別事案についての「事情聴取」の有無について明らかにすることは、金融庁の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあること等から、答弁を差し控えたい。

十三について

 金融庁としては、アイフルに対しては、近畿財務局において厳正かつ適切に行政処分を行ったものであると認識している。