質問主意書

第164回国会(常会)

答弁書


答弁書第二三号

内閣参質一六四第二三号
  平成十八年二月二十八日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員大久保勉君提出日本銀行の自主性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出日本銀行の自主性に関する質問に対する答弁書

一について

 「通貨及び金融の調節」とは、日本銀行が、債券・手形オペレーション等を通じ通貨発行量や金利水準を調節することをいい、いわゆる日本銀行の金融政策を意味している。
 「業務運営」とは、日本銀行がその目的を達成するために、業務を行うことをいう。
 また、日本銀行の「通貨及び金融の調節」については、その理念である物価の安定の達成のために高い独立性が付与されるよう、日本銀行の自主性が「尊重」されなければならないとされているのに対して、日本銀行の業務運営については、認可等による政府の関与を認めた上、最高意思決定機関が政策委員会であることにかんがみ、日本銀行の自主性が「十分配慮」されなければならないとされている。

二について

 御指摘の政策目標等の意味が必ずしも明らかではないが、日本銀行法(平成九年法律第八十九号。以下「法」という。)第三条第一項において自主性についての尊重義務が規定されている通貨及び金融の調節については、その理念が、法第二条において「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」と規定され、また、政府との関係が、法第四条において「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」と規定されており、日本銀行は、これらの規定に従って通貨及び金融の調節を行うこととなる。

三について

 「日本銀行の経費が通貨発行益により賄われていること等の日本銀行の公的性格から、その経費を公的にチェックすることは必要である」とする御指摘の「日本銀行法の改正に関する答申理由書」の第六「会計」の説明で示された考え方は、適切であると考える。

四について

 予算について財務大臣の認可を受けなければならない経費は、法第五十一条第一項において、「通貨及び金融の調節に支障を生じさせないものとして政令で定める経費に限る」とされており、日本銀行法施行令(平成九年政令第三百八十五号。以下「令」という。)第十四条第七号に規定する「業務の用に供する不動産」の取得に要する経費は、これから除かれている。
 また、一についてで述べたとおり、「通貨及び金融の調節」には、日本銀行が通貨発行量を調節することが含まれることから、「銀行券を発行する」ことは、「通貨及び金融の調節を行うこと」と密接不可分の関係にあり、法第五十一条第一項に規定する「通貨及び金融の調節に支障を生じさせないもの」に該当しない。
 したがって、銀行券の発行が行われている戸田分館に係る不動産は、令第十四条第七号に規定する「業務の用に供する不動産」に該当し、戸田分館に関する経費については、当該不動産の取得に要する経費を除いた部分の予算につき、財務大臣の認可を受けることとなる。
 戸田分館に関する経費の予算については、平成十年度以降、毎事業年度開始前に、不動産の取得に要する経費を除いた部分の予算が、他の経費の予算と併せて日本銀行から提出され、これについて、日本銀行の効率的な業務運営の確保等の観点から審査した上で、財務大臣が認可している。

五について

 戸田分館の建設計画の策定時における銀行券の受払いが増加基調にあったこと等から、既存の設備で対応可能な限界を超えることが見込まれたため、法第七条第二項の規定に基づき、戸田分館の設置認可を行ったところである。
 また、戸田分館に係る不動産の取得に要する経費については、令第十四条第七号に規定する「業務の用に供する不動産」に該当することから、日本銀行において、その妥当性を判断したものと承知している。
 当該不動産の取得に要する経費を除いた部分の経費については、銀行券の受払いの実績等を勘案し、法第五十一条第一項の規定による認可を行っており、必要かつ妥当なものであると考える。

六について

 会計検査院は、会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)に基づき、日本銀行に対し、毎年度会計実地検査を行うなど適時適切に会計検査を実施していると承知している。

七について

 会計検査院においては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の趣旨に沿って「情報公開請求に対する審査基準」(平成十三年三月二十九日会計検査院長決定)を定め、同法に従って開示等についての決定を行っているものと承知している。