質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第八六号

朝鮮半島における戦時労働動員死亡者の遺骨問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年六月十五日

岡崎 トミ子   


       参議院議長 扇 千景 殿



   朝鮮半島における戦時労働動員死亡者の遺骨問題に関する質問主意書

 平成一六年一二月の日韓首脳会談以降、朝鮮人(韓国を含む。以下同じ。)の戦時労働動員死亡者の遺骨返還に向けて、両国の協議のもとで調査が進められている。遺骨問題の解決は重要な人道的問題であり、今後日本が過去の歴史と向き合い、アジアの人々と共生していくために、大切な課題であると考える。
 そこで、以下質問する。

一 朝鮮人の戦時労働動員は、昭和一四年七月の閣議決定による総動員計画によって開始され、毎年の閣議決定による総動員計画に基づき、各企業への動員は政府の承認のうえで行われてきたものであることを政府は認めるか。また、その人数をどう把握しているか。

二 朝鮮人の戦時労働動員の結果、多くの朝鮮人が死亡したが、その死亡者数をどう把握しているか。
 また、その死は政府の戦時労働動員が無ければ生まれなかったものである。このことについて、政府はその責任をどう考えるか。また、関係企業の責任について、政府はどのように考えているか。

三 朝鮮人の死亡者について、その死亡の事実さえ伝えられずにいる遺家族が今も多数いる。政府は、各地方自治体が保有する埋火葬認可に関する記録、戸籍受付帳、寄留名簿、また政府が保有する厚生年金データ、供託金名簿などを調査し、死亡者の状況を把握し、遺族にお伝えすることが、たとえ遺骨が見つからない場合でも必要と考えるがいかがか。

四 我が国に残された朝鮮人の遺骨返還については、原則として遺族にお返しすることが必要と考えるがいかがか。

五 遺族への遺骨返還にあたっては、戦時労働動員の状況、死に至った経過を遺族にお伝えし、政府と関係企業は謝罪の意を表すべきと考えるがいかがか。

六 遺骨の返還にあたっては、人道的立場、日本国民の良心の意思表明として、遺族に対し葬祭費、慰謝料などの金銭を支払うべきと考えるがいかがか。

七 戦時労働動員の実態と、我が国が与えたアジア諸国民への被害について調査し、再びこのような過ちを繰り返すことのないよう、日本国民に周知徹底をはかる必要があると考えるがいかがか。

  右質問する。