質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第五三号

JR総連・JR東労組などJR労組に浸透する革マル派の実態等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年四月二十八日

山下 八洲夫   


       参議院議長 扇 千景 殿



   JR総連・JR東労組などJR労組に浸透する革マル派の実態等に関する質問主意書

 私は、平成十五年二月七日に「JR東労組の役員逮捕、家宅捜索及びJR東労組への革マル派浸透に関する質問主意書」(第百五十六回国会質問第三号)を提出した。これに対する平成十五年三月十八日付けの政府の答弁書(以下「前回答弁書」という。)では、「革マル派は現在、組織拡大に重点を置き、党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っており、JR総連及びJR東労組への浸透もそうした組織拡大戦術の一環であると考えられる。なお、JR総連及びJR東労組という公共交通機関の労働組合における革マル派の動向については、公安の維持の観点から重大な関心を払っている。」との見解が示されている。
 平成十四年十一月一日に警視庁が強要容疑の罪でJR東労組の役員ら七名を逮捕するとともに、七十数箇所に上る家宅捜索を実施してから、既に三年半が経過している。その後も、警視庁はJR総連及びJR東労組の関連する数箇所への捜索を数次にわたり実施した。また、報道によると、平成十七年十二月七日、警視庁は業務上横領の罪で、JR総連を始めとする関連団体等を捜索し、多数の関係資料を押収したとされる。
 このような政府の見解及び捜査の進展状況から見て、関係当局は、我が国の基幹産業である公共交通機関の労働組合に、共産主義革命を究極の目的とする極左暴力集団である革マル派が浸透している事態を憂慮し、安全対策とともに治安対策に取り組んでいるものと考える。
 以上の認識を踏まえ、以下質問する。

一 これまでの捜査の進展過程で解明された革マル派の組織実態とその社会的危険性について、具体的に明らかにされたい。また、前回答弁書において、革マル派は組織拡大戦術の一環として党派性を隠して基幹産業の労働組合等への浸透を図っているとされているが、その目的及び解明されている具体的な浸透の事例を明らかにされたい。

二 前回答弁書においては、JR総連及びJR東労組という公共交通機関の労働組合における革マル派の動向について、公安の維持の観点から重大な関心を払わなければならないとされているが、その具体的理由を明らかにされたい。また、関心を払う必要のある革マル派の動向、関係する組織、注意を要する人物、発行する書籍及び機関誌・機関紙等を、具体的に明らかにされたい。

三 関係当局が公共交通機関の労働組合に革マル派が浸透している実態を繰り返し指摘しながらも、この憂慮すべき事態が今なお解消されていない原因は何か、具体的に明らかにされたい。また、公安の維持の観点から、今後どのように対処していく方針なのか、具体的に明らかにされたい。

四 関係当局は、JR総連及びJR東労組への革マル派の浸透に関して、JR東日本など関係するJR各社に対する情報提供・注意喚起などの対策をどのように講じてきたのか、具体的に明らかにされたい。また、JR東日本及び関連会社から、JR総連及びJR東労組を介して革マル派に資金が流れている懸念はないのか。

五 警察庁が公表している『焦点』第二百七十二号は、平成十八年度においても革マル派が労働運動への介入の強化やJR関係者に対する違法な調査活動を行う可能性を指摘しているが、具体的に革マル派がどのような行為に及ぶと懸念されるのか、詳細に明らかにされたい。

六 革マル派のJR総連及びJR東労組への浸透状況について、これまでの国会答弁で存在が明らかにされた「トラジャ」「マングローブ」等の革マル派組織の浸透実態及び浸透する関係組織の名称等について、現時点で解明している事項を具体的に明らかにされたい。また、JR東労組内の革マル派構成員を具体的に把握しているのか否かについても明らかにされたい。

七 JR総連及びJR東労組の若手組合員並びに現場管理者及び大卒採用の幹部候補社員に対する革マル派の浸透及び影響力行使の実態について、具体的に明らかにされたい。

八 JR総連に加盟するJR北海道労組及びJR貨物労組に対する革マル派の浸透及び影響力行使の実態について、具体的に明らかにされたい。また、これらの組合内における「トラジャ」「マングローブ」等の革マル派組織及び構成員についても、JR東労組に関する六の質問に対する答弁と同様に、具体的に明らかにされたい。

九 平成十七年十二月七日以降のJR総連などに対する捜索は、何らかの犯罪容疑により実施されたものと考えるが、これまでの捜索の結果、どのような犯罪容疑が解明されているのか。また、捜索は慎重を期して実施されているものと考えるが、数次にわたる捜索を実施したにもかかわらず、現時点で結果が明確にされていないことはどのような理由によるものか。

十 革マル派が労働組合等への浸透を図る理由には、活動資金の獲得があると考えるが、これについての政府の見解はいかがか。また、報道によると、長年にわたりJR東労組の最高幹部を務めた松崎明氏がJR東労組や関係団体の活動資金を私的に流用していたとされるが、関係当局はこうした実態をどの程度認識し解明しているのか、革マル派の活動資金との関連性も含めて明らかにされたい。さらに、JR東労組や関係団体の経理手続について、どのような指導・管理が行われているのか明らかにされたい。

十一 平成十七年四月二十五日のJR福知山線列車脱線事故をめぐり、革マル派とJR総連及びその加盟組織であるJR西労は、「JR西日本の『日勤教育』が事故の原因」という、互いに酷似した主張を行っている模様であるが、JR西労への革マル派の浸透及び影響力行使の実態について、現時点で解明している事項を具体的に明らかにされたい。また、事故列車の車掌は今も入院中で、会社側の説得にもかかわらず何らコメントが明らかにされていないと聞くが、この実態と、車掌が所属するJR西労、又はJR西労に浸透している革マル派の組織方針との関連性について把握しているところを明らかにされたい。

  右質問する。