質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第五一号

大学の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年四月二十七日

櫻井 充   


       参議院議長 扇 千景 殿



   大学の在り方に関する質問主意書

 近年、大学進学率の上昇を受けて、大学の設置数は増加している。しかし、少子化による受験者の減少によって、各大学は厳しい競争を強いられている。
 また、バブル崩壊後の日本経済は低成長に転じており、科学技術もキャッチアップの時代を過ぎている。これらの環境変化によって、大学には、これまでの役割に加えて、基礎研究の充実や教育活動の拡大等新たな役割も要求されるようになっている。
 大学がこうした時代の変化に即応して、柔軟にその在り方を見直していくのは当然のことである。しかし、大学は高等教育の基盤であり、国家の発展に不可欠なものであるから、その見直しによって本来大学が果たすべき役割や公共性といった点でのあるべき姿が損なわれることがあってはならない。
 そこで、以下質問する。

一 政府は、大学が果たすべき役割と公共性がどのようなものであると認識しているか。

二 政府は、一に対する答弁で示された役割と公共性が損なわれないようにするために、大学の運営はどのようなものであるべきと考えているのか。

三 学校教育法の規定に基づき、文部科学省令により大学設置基準が定められており、大学を設置する際にはこれに従うことが義務付けられている。この大学設置基準で定めている具体的な内容は、どのような検討を行い、かつどのような理論的根拠をもって定められたものであるのか。具体的な検討・決定過程を含めて詳細に明らかにされたい。

四 政府は、大学設置基準の要件を緩和する方向で検討していると聞くが、それは事実か。事実であるとすれば、現行の要件を緩和しても弊害は生じないのか、また、仮に弊害が生じた場合にはその責任はだれにあり、どのように対処するのかも併せて示されたい。

五 大学の運営上、大学設置基準以外に学校教育法により従うことが求められる基準となるものはあるか。あるのであれば、それらをすべて示されたい。

六 大学設置基準第十四条は教授となることができる者の資格を列挙している。しかし、第一号から第五号までは要件を明確に述べているのに対し、第六号のみが「専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有すると認められる者」と要件が漠然としている。その理由はなぜか。また、具体的にはどのような者がこの要件に該当するのか。

七 大学が大学設置基準を満たしていない場合、政府はどのような措置を講ずるのか。具体的に示されたい。

八 大学の運営は、基本的に大学側の自治に基づき行われることになると考えるが、どこまで大学自らの判断で決定することが許されているのか。例えば、仮に学校教育法や大学設置基準等の法規に反しないとしても、授業の形態や単位の授与等について恣意的な決定を行うなど、大学に対して一般的に求められる常識・社会通念から外れた行為を行うことは許されるのか。

九 大学が、八で述べた一般的に求められる常識・社会通念から外れた行為を行うことがないようにするために、政府はどのような措置を講じているのか。また、仮にこれらの行為について何らかの問題が発生した場合、政府はその解決を図るための措置をどこまで積極的に講ずることができるのか。

  右質問する。