第164回国会(常会)
質問第四九号 アイフル株式会社に対する業務停止処分に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成十八年四月二十日 前川 清成
参議院議長 扇 千景 殿 アイフル株式会社に対する業務停止処分に関する質問主意書 本年三月八日の「貸金業規制法に基づく消費者金融業者に対する行政指導、行政処分等に関する質問主意書」(以下「前回質問主意書」という。)で私が指摘したとおり、金融庁による貸金業者に対する行政処分が極めて不熱心な結果、貸金業者による違法・悪質な取立が横行している。 とりわけ、アイフル株式会社(以下「アイフル」という。)による取立時の暴行に関しては、前回質問主意書でも具体的に指摘したところである。四月十四日に近畿財務局が公表した業務停止の行政処分(以下「本業務停止処分」という。)は遅きに失したと言わざるを得ない。 そこで、貸金業者による違法・不当な取立行為を根絶するべく、あらためて警察当局及び金融庁の対応に関して、以下質問する。 一 本業務停止処分に伴って金融庁が公表した違反事実によれば、アイフルは顧客名義の委任状を偽造している。また、金融庁が認定した貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業規制法」という。)第十九条及び第二十一条違反のいずれも、刑罰が科せられるべき行為である。 ついては、警察当局はこれら犯罪行為に適切な捜査を行っているのか、これまでの対応及び今後の対応を明らかにされたい。 二 貸金業規制法違反については、金融庁から適時に適切な方法で警察当局に対し情報が提供されないと、警察における捜査の端緒となり得ない。アイフルの違反事実に関して、金融庁から警察当局に対しては、既に刑事告発等適当な方法で犯罪事実が連絡されているのか。警察当局がどのような情報提供を受けているのか、また、金融庁は警察の捜査に資するべくこれまでにどのような情報提供を行ったか、それぞれ具体的に示されたい。 三 本業務停止処分に先立って、金融庁及び近畿財務局は、いかなる調査を実施したか。調査の内容、態様、対象、調査に要した人員、日数等を具体的に示されたい。 四 本業務停止処分に先立って行った調査の結果、金融庁はいかなる資料・証拠に基づいて違反事実を認定したのか。 五 アイフルは、認定した違反事実を認めていたか。 あるいは、近畿財務局は、アイフルが認めたからこそ違反事実を認定したのか。仮に、アイフルが違反事実を否認していたならば、近畿財務局は違反事実を認定していなかったか。 六 これまでの金融庁の実務においては、監督の対象である貸金業者が否認しているとき、客観的な証拠によって違反行為を認定できたとしても行政処分を避けてきたのか。また、現時点も同様の見解であるのかも示されたい。 七 前回質問主意書でも指摘したとおり、平成十一年十月二十六日の大阪高等裁判所判決は、アイフルによる取立時の暴行行為を認定している。裁判所の判決が認定しながらも、未だにアイフルに対して行政処分がなされないのは極めて不自然である。これでは、金融庁とアイフルとの癒着があるのかという疑惑を感じたとしても不思議ではない。なぜ、この判決を近畿財務局は無視し続けるのか、その理由を明らかにされたい。 八 平成十八年四月二十日の参議院法務委員会において、後藤田正純内閣府大臣政務官は「限られたマンパワーの中で精一杯やっている」旨を答弁したが、金融庁には、貸金業規制法によって与えられた監督権限を十分に行使し得る人的体制が整っていないのか。 各財務局において、貸金業者の監督に従事する人員は何名いるのか。財務局ごとの組織・体制も含めて詳細に説明されたい。 九 行政処分を科さないケースに関して、金融庁はその委細を公表しないと述べているが、その理由が不明である。なぜ、行政処分を科さないケースでは、調査結果を公表しないのか。 十 アイフルは過剰与信の事実も自認している。本業務停止処分に当たって、金融庁が把握した過剰与信はいかなるケースか。 十一 アイフル全店については、わずか三日間の業務停止が科されたに過ぎない。本業務停止処分の内容、程度はいかなる事情を勘案して決定したのか。 十二 アイフルは住友信託銀行等と業務提携しているが、これらの提携に銀行法上等の問題はないか。金融庁として、提携先への事情聴取等は実施したか。 十三 金融庁として、本業務停止処分は遅きに失したとの反省はあるか、見解を示されたい。 右質問する。 |