質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第四七号

食料自給率の向上のための施策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年四月七日

藤末 健三   


       参議院議長 扇 千景 殿



   食料自給率の向上のための施策に関する質問主意書

 米、小麦等の穀物は、主食用としても、また飼料としても我々の生活に欠かせない重要な食料である。我が国が目指している食料自給率の向上のためには、穀物自給率を一層高めることが必須である。
 しかし、平成十五年度における我が国の総合食料自給率(カロリーベース)は四十パーセントであり、OECD加盟諸国の中でも低水準である。さらに、同年度の穀物自給率(飼料用穀物を含む重量ベース)は二十七パーセントであり、我が国と同じく山岳が多く国土が狭隘なスイスの五十九パーセント(平成十四年度)と比較しても非常に低い水準である。
 平成八年十二月、政府は竹村泰子参議院議員提出の「小麦と小麦粉の安全性に関する質問主意書」(第百三十九回国会質問第一号)に対する答弁書の中で、「小麦は、米と並んで主食としての役割を果たしており、国産小麦の生産量を増大させることは、食料自給率の向上にとって有益である」と答弁している。平成十七年産の小麦の国内生産量は八十七万トンであり、この答弁の当時よりも二倍近く増加している上、作付面積や単位面積当たりの収量も向上している。ところが、小麦の自給率は昭和三十六年の四十三パーセントをピークに近年は十パーセント程度と低迷しており、主食であるはずの小麦は海外に全面的に依存しているのが実情である。
 そこで、食料自給率の向上のための施策のうち、特に小麦を中心とした穀物自給率を向上させるための具体的な方針及び対策について、以下質問する。

一 政府は、平成十七年三月に変更された新たな食料・農業・農村基本計画において、平成十五年度現在四十パーセントの総合食料自給率を平成二十七年度までに四十五パーセントに引き上げる目標を立てている。しかし、穀物自給率の目標については二十七パーセントを三十パーセントに引き上げるにとどまっている。重要な位置付けにある穀物について、このように自給率目標が低く設定されている状況では、総合食料自給率目標の達成は困難であると考えるが、穀物自給率目標の設定根拠について明確に説明されたい。

二 新たな食料・農業・農村基本計画においては、平成二十七年度の小麦の自給率目標を平成十五年度現在と同じ十四パーセントに据え置いているが、その理由を明らかにされたい。

三 我が国の小麦の自給率水準は諸外国と比べて極端に低いと考えるが、政府はこのような現状であっても、今後とも小麦が主食としての役割を果たしていくことができると考えているのか。

四 我が国においては小麦需要の約九割を輸入に依存し、そのほとんどを米国、カナダ及びオーストラリアの三か国が占めている。今後、仮にこれらの国々においての大規模不作や国際紛争等によって小麦の輸入が途絶えた場合、国内における小麦の供給は危機的な状況に陥ることが考えられる。したがって、リスクヘッジの観点からも、これら三か国以外からの小麦の輸入を増加して特定の国への依存度を低くするのが望ましいと考えるが、いかがか。

五 政府は、国産麦の民間流通を促すために平成十二年産から導入した麦作経営安定資金について、民間流通が定着したとの判断から平成十八年産をもって廃止し、その機能を新たに導入する品目横断的経営安定対策に引き継ぐことにしている。しかし、麦類生産農家は北海道を除いて経営規模が小さく、集落営農の組織化も遅れていることから、新たな経営安定対策の対象から外れる農家が続出することを危惧する。新たな経営安定対策はすべての麦類生産農家をカバーできるのか、政府の見通しを示されたい。
 また、民間流通が緒についたばかりの麦については、当面は品目別の対策により、引き続き生産・経営基盤の強化を図る必要があると考えるが、いかがか。

  右質問する。