質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第三四号

在日米軍再編に伴う関係自治体への特別交付金等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年三月九日

大田 昌秀   


       参議院議長 扇 千景 殿



   在日米軍再編に伴う関係自治体への特別交付金等に関する質問主意書

 政府は、「在日米軍再編に伴う在沖縄米海兵隊のグアム移転関連経費等に関する質問主意書」に対する本年二月二十四日付の答弁書(以下「答弁書」という。)の中で、「第三海兵機動展開部隊司令部のグアムへの移転等をなるべく早期に実現するため、アメリカ合衆国と協力して、資金的その他の措置を検討していきたいと考えている」ことを明らかにした。しかし、「現時点では、具体的な措置について何ら決定されていない」し、「また、日米間の協議の詳細な内容については、アメリカ合衆国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。」と答えた。
 一方、報道によると、北原巖男防衛施設庁長官は、去る三月四・五日に沖縄を訪問し、稲嶺惠一沖縄県知事等と相次いで会談し、在沖縄米海兵隊の削減幅を千人上積みし、八千人を削減することに加え、嘉手納基地より南の基地の大部分の返還、嘉手納基地のF15戦闘機の一部訓練を本土移転することなどに向けて全力を尽くしていると説明したという。これに先立ち、在沖縄米海兵隊削減人数の上積みと、在沖縄米海兵隊のグアムへの移転費用の上積みと積算根拠等について報道がなされている。さらに、二月二十一日付『琉球新報』では、米軍再編に伴う基地等移転先の関係自治体への説得材料にするため、防衛庁が原子力発電所受入先への交付金をモデルにした特別交付金の創設を検討し、在沖縄米海兵隊のグアム移転費分担の根拠法とともに、特別交付金に関する特別措置法案を今国会に提出することを検討しているとも報じられている。
 このように、在日米軍再編に係る日米間の協議あるいは関係自治体と政府間の協議が進んでいることが逐次報道等で明らかにされている状況のもとで、「答弁書」にあるような日米間での協議中を理由とした答弁の差し控え等は国民の知る権利を奪うもので許されることではない。
 よって、次のとおり質問する。

一 「答弁書」において「第三海兵機動展開部隊司令部のグアムへの移転等をなるべく早期に実現するため、アメリカ合衆国と協力して、資金的その他の措置を検討していきたいと考えている」と述べている。これは、日本側としては「その資金の分担をしなければならない」と考えていると解してよいか。もしそうだとすれば、そのことは、海外における外国軍隊の軍事施設の建設費用を我が国が負担できるということになるが、その根拠法を示されたい。

二 日米間の協議において、米国側から現時点で示されている在沖縄米海兵隊のグアムへの移転費用の総額及び我が国の負担額をそれぞれ明らかにされたい。

三 北原防衛施設庁長官は去る三月四日の稲嶺沖縄県知事との会談において、在沖縄米海兵隊の削減数について現在言われている七千人を八千人にしてもよいとの趣旨の提案をしている。その削減数は米国側との合意のうえで示したものなのか明らかにされたい。

四 日本側の意思によって在沖縄米海兵隊の削減数を上積みすることができるとすれば、普天間飛行場の三千人足らずの兵員を八千人の中に含めてグアム等へ移転することも可能ではないかと思われる。そうすれば、地元住民の反対を無理やり押し切って代替施設を造る必要は全くない。これまで、米国側に対してそのような要求を行ったことはあるのか。まだないとすれば、今後、そのような要求を行う考えはあるのか。

五 政府は、米軍普天間飛行場の移設に伴う公有水面の使用権限を知事から国に移す特別措置法の導入を検討していると報じられているが、それは事実か明らかにされたい。

六 米軍基地建設の移転の進ちょくを条件に、自治体に支払う新たな交付金の創設を検討しているとの報道は事実か。事実だとすれば、その予算項目及び金額をそれぞれ明らかにされたい。

  右質問する。