質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第二九号

総合科学技術会議の科学技術基本政策答申に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年二月二十一日

藤末 健三   


       参議院議長 扇 千景 殿



   総合科学技術会議の科学技術基本政策答申に関する質問主意書

 平成十七年十二月二十七日、総合科学技術会議は、諮問第五号「科学技術に関する基本政策について」に対する答申(以下「基本政策答申」という。)を行った。
 基本政策答申は、平成十八年度から平成二十二年度までの第三期科学技術基本計画の策定に向けて、これまでの科学技術をめぐる諸情勢を振り返るとともに、「社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術」「人材育成と競争的環境の重視」という基本姿勢の下、「政策目標の明確化」及び「投資の総額規模」を基本理念として示している。しかし、それを受けた各論の部分については、我が国の科学技術を推進する観点から見て、さまざまな点について議論が不十分であると考える。
 そこで、以下質問する。

一 基本政策答申には、「政策目標の明確化」が基本理念に含まれるにもかかわらず、必ずしも第三期科学技術基本計画によって達成される最終的目標が明確ではないと考える。科学技術の経済成長への貢献、雇用への貢献等に関して具体的かつ数値的な目標の設定が必要ではないか。

二 基本政策答申では、戦略の基本として「質の高い研究を層厚く生み出す人材育成と競争的環境の醸成」と「科学の発展と絶えざるイノベーションの創出に向けた戦略的投資及びそれらの成果還元に向けた制度・運用上の隘路の解消」の二点を打ち出している。しかしながら、特に前者についてはその内容が明らかでない。
 人材育成の重視に関して、博士号、技術士などの人材資格の活用をどのように考えるのか、明確かつ具体的に示されたい。また、競争的環境の重視に関して、大学及び教官又は研究者の業績評価をどのように取り入れるのか、明確かつ具体的に示されたい。

三 基本政策答申では、一定の財源を確保して基礎研究を着実に進めることを明示した上で、そのうち政策に基づき将来の応用を目指す基礎研究については、政策課題対応型研究開発の一部として位置付けられるものから、重点化を図りつつ進めることとされている。しかし、「例えば科学研究費補助金で行われるような研究者の自由な発想に基づく研究については、政策課題対応型研究開発とは独立して推進されることを明確化し、理解の徹底を図る。」ともされている。
 巨額な科学研究費補助金を重点化の対象としないと重点化の意義が著しく低下すると考えるが、重点化の対象としない明確な理由を示されたい。また、どのように納税者の理解の徹底を図るのかを明示されたい。

四 基本政策答申においては、大学における基盤的資金(国立大学法人運営費交付金、施設整備費補助金、私学助成)と競争的資金(科学研究費補助金等)の有効な組合せについて、基盤的資金と競争的資金の固有の機能を踏まえ、政府研究開発投資全体の拡充を図る中で有効な組合せを検討することが示されている。
 しかし、これらの基盤的資金をそのまま競争的な制度の対象外とすることは、大学において競争的な環境を醸成することにはつながらず、国立大学法人化の意義にも逆行していると考える。基盤的資金として競争的な制度の対象外とする理由を明確に示されたい。

五 基本政策答申では、総合科学技術会議の役割の中に、具体的取組の一つに「政府研究開発の効果的・効率的推進」として四つの項目を掲げている。しかし、その四つの機能強化に伴う調査分析機能や府省間の調整機能の強化を図ることについては、わずか一文で済まされている。具体的な方策を示すべきではないか。
 特に、文部科学省の科学技術政策研究所を総合科学技術会議に移設し、その調査分析機能を強化すべきと考えるがいかがか。文部科学省から移設すべきでないのであれば、その理由を明確に示されたい。

  右質問する。