質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第二三号

日本銀行の自主性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年二月十七日

大久保 勉   


       参議院議長 扇 千景 殿



   日本銀行の自主性に関する質問主意書

 政府と中央銀行との関係は、各国で議論がなされている。日本では、平成十年に施行された改正日本銀行法において、中央銀行である日本銀行の自主性が大幅に担保されることとなった。
 この点に関し、以下質問する。

一 日本銀行法では第三条において「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない。」とされ、第五条第二項において「この法律の運用に当たっては、日本銀行の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない。」とされている。この点に関して、「通貨及び金融の調節」及び「業務運営」の定義をそれぞれ示されたい。また、ここでいう「尊重」と「十分配慮」との間には、いかなる差異が存在するのか、政府の見解を示されたい。

二 日本銀行法第三条における「通貨及び金融の調節における自主性」について、日本銀行には政策目標に関して政府からの自主性があるのか、それとも政策目標実現のための手段に関する自主性を持つに過ぎないのか、政府の見解を示されたい。

三 現行の日本銀行法は、金融制度調査会による平成九年二月の「日本銀行法の改正に関する答申」を基礎としており、特に、経費に関する予算の財務大臣認可を定めた第五十一条の規定は、この答申の第六「会計」の部分を受けたものである。「日本銀行法の改正に関する答申理由書」では、第六「会計」の説明において、日本銀行の公的性格からその経費の公的チェックの必要性を指摘している。今日においてもこの説明で示された考え方が適切であると考えるか、政府の見解を示されたい。

四 今後の銀行券取扱物量の増大に対応するためとして、平成十五年四月から稼働した戸田分館(発券センター)において行われている業務は、銀行券の現物の受払、鑑査及び保管であり、日本銀行法では「第四章 業務」ではなく、「第五章 日本銀行券」に定められている事項であると考える。したがって、日本銀行法第一条第一項で定める目的のうち「銀行券を発行する」ことに関連する業務であり、「通貨及び金融の調節を行うこと」には含まれない。
 すなわち、戸田分館の計画、設計、建設及び運営等にかかる経費は、日本銀行法施行令第十四条第七号における「(業務の用に供する不動産を除く。)」という除外規定には当たらず、日本銀行法第五十一条第一項における「通貨及び金融の調節に支障を生じさせないものとして政令で定める経費」に当たることから、財務大臣の認可を受ける予算に含まれていると考える。このような理解でよいか、政府の見解を示されたい。
 また、財務大臣による認可について、戸田分館に関する予算に関してどのような手続きを過去に行い、そして現在行っているのかを明らかにされたい。

五 現在の銀行券受払状況を勘案すると、戸田分館建設計画時の想定と大幅な乖離が生じており、戸田分館に係る経費は妥当なものとは言えないと考える。この点について政府の見解を示されたい。

六 日本銀行は政府からの出資が二分の一以上を占めており、会計検査院法第二十二条第四号の「日本銀行が国のために取り扱う現金、貴金属及び有価証券の受払」のみならず、同条第五号の「国が資本金の二分の一以上を出資している法人」としても会計検査院の検査対象となっている。会計検査院は、適時適切な検査を日本銀行に対して行っているのか否かを明らかにされたい。

七 戸田分館の着工以来現在に至るまでの期間である平成十一年度から平成十六年度の日本銀行への会計検査に関する「申報書」「質問・回答」「検査報告提案審議資料」及び「検査資料(会計検査院実地検査調書)」等を公開するよう会計検査院に求めたが、会計検査院からは行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号。以下「情報公開法」という。)及び情報公開請求に対する審査基準(平成十三年会計検査院長決定。以下「審査基準」という。)により公表しないこととしている旨の回答があった。
 このような会計検査院の対応や、会計検査院長が決定した審査基準そのものは、全府省統一的に情報公開を進めようとする情報公開法の趣旨に合致しないものではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。