質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

天皇制についての論議に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年二月七日

喜納 昌吉   


       参議院議長 扇 千景 殿



   天皇制についての論議に関する質問主意書

 昨年十一月末、小泉内閣総理大臣の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(以下、「有識者会議」という。)が女性・女系天皇を容認する方針を打ち出して以来、国会内外でその是非についての議論が活発に行われている。だが現在、国会で展開されている天皇制をめぐる議論は、女性・女系天皇を認めるか否かに集中し、天皇制そのものの存続の是非についての議論が全くなされていない。
 近現代日本女性史の専門家である加納美紀代氏が昨年十月二十八日付「朝日新聞」に書いた『天皇制そのもの議論を』で、「天皇制は生まれながらの貴賎や階層秩序を生み出す根源であり、人間平等の理念に反する。これらは女性天皇が可能になっても変わらない。」、「いまや天皇制存続のために女性天皇を容認するよりも、天皇制存続の是非を議論すべきではないだろうか。」と問題提起している。まことに的を射た指摘であり、存続の賛否いずれの立場からでもなく、論理的な立場から、天皇制存続の是非を問う議論を優先的に行うべきだと考える。
 そこで、以下質問する。

一 天皇制存続の是非について政府内でも議論を行う必要があるといった考え方があることについて、政府の所見を示されたい。また、政府はこれまでに天皇制存続の是非を問う論議をしたことはないと承知しているが、その理由を明らかにされたい。

二 小泉内閣総理大臣は有識者会議に対して、天皇制存続の是非についての意見集約を求めたか否か、明らかにされたい。また、有識者会議で、天皇制存続の是非についての論議がなされたか否かを明らかにされたい。

三 昨年来、憲法改正論議も活発になっているが、憲法改正を議論する以上、論理的な立場からすれば、全条項が改正論議の対象になる。そこで、仮に憲法改正が不可避であるならば、憲法前文に謳われている「主権在民」の精神を強調するために、第一章は、現行憲法で第三章に規定されている「国民の権利及び義務」とすべきではないか。この点について政府の考えを示されたい。

  右質問する。