質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第七号

従軍慰安婦など戦後処理問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年一月二十六日

喜納 昌吉   


       参議院議長 扇 千景 殿



   従軍慰安婦など戦後処理問題に関する質問主意書

 本年は戦後六一年目に当たるが、日本は依然、アジア諸国との戦後処理ができないでいる。戦後処理の中で最も重要な問題の一つは従軍慰安婦問題である。日本政府が問題の存在を認めてから一三年が経過しているが、問題は解決していない。それどころか、世界各地で日本に対する批判が相次いでいる。
 そこで、以下質問する。

一 政府は一九九五年に「女性のためのアジア平和国民基金」を設立し「誠実に対応してきた」と主張している。だが、この基金が「償い金」として対応してきたのは、韓国、台湾及びフィリピンの一部の被害者に対してだけであり、中国、北朝鮮、インドネシア、東ティモールその他の国々の被害者には対応していない。そこで政府は、韓国、台湾及びフィリピンにおけるこの基金の支給金額の引上げや対象範囲を拡大させるとともに、他の諸国の被害者にも、この基金により対応を講ずる意思はあるのか示されたい。

二 二〇〇五年一〇月、国際的な人権団体「国際アムネスティ」は、日本政府の慰安婦問題への不誠実な姿勢を厳しく批判する報告書と勧告を発表した。そこには「お金よりも正義が欲しい」と、政府の公式謝罪を求める被害者の声が紹介されている。これを政府はどう受け止めるか。

三 政府は、慰安婦問題などへの賠償と謝罪を求める裁判で、時効であり訴えの時期は過ぎているといった趣旨の判決が出されたことを基に、慰安婦問題や他の戦後処理問題への真摯な対応を突っぱねてきた。政府が法律の殻に閉じこもれば閉じこもるほど、国際社会は日本の無理解と冷酷さを一層認識し、対日感情を悪くする。これではアジア外交の根本的な改善などは望めない。政府は今後、現行法のもとで十分な対応ができないのであれば必要な法整備を行うなど、慰安婦問題をはじめとする戦後処理問題の解決を真摯に図っていく意思があるのか明らかにされたい。

  右質問する。