質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第六号

公的機関を装った架空の文書による詐欺行為の根絶に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年一月二十六日

仁比 聡平   


       参議院議長 扇 千景 殿



   公的機関を装った架空の文書による詐欺行為の根絶に関する質問主意書

 最近、「訴訟通達管理局」「訴訟通達管理センター」等、公的機関を連想させる差出人名により、「民事訴訟継続中最終警告書」等の表題を付した架空の文書が大量に郵送されている。
 その文書の一例を挙げれば、「『総合消費料金未納分』について、…民事訴訟による訴状が提出されております。」「このまま連絡無き場合、…被告の給与及び動産物、不動産の差し押さえを執行官立会いのもと強制執行し、…。」などとした上で、「民事訴訟、裁判取り下げ等のご相談に関しましては当局にて受け賜りますが、こちら『総合消費者民法特例法』による法務省認可通達書の為、…ご本人様の御連絡をお願い致します。」「当局は…訴訟の正当性を確認する機関であり、…訴訟を提起するのではありません。」などと記載され、公的機関を装って連絡を求める文面が共通して見られる。加えて、「訴訟番号」「裁判取下最終期日」等が記載されている点も多くの事例に共通している。中には、「万が一、身に覚えがない場合、早急にご連絡下さい」との注意書きや、「最近、新しい手口として、架空の少額訴訟手続を行い、欠席したら一日で判決が出る事例もある」などとして連絡を促す事例もある。
 私が所属する北九州第一法律事務所にも多くの相談が寄せられているが、その相談者の多くは、本当に公的機関からの郵便物だと錯誤している。また、地方自治体の消費生活センターへの問い合わせも急増しており、当然、警察署などを含む公的機関への問い合わせも急増していると考えられる。
 このように、善良な市民を不安に陥れ社会に混乱をもたらす悪質な行為が多発しているが、公的機関を装った架空の文書による詐欺行為を根絶するには、装われた公的機関自身が断固たる措置を採るべきであり、このような文書が送付された旨の連絡を受けた際は速やかに取締りを行うべきであると考える。
そこで、以下質問する。

一 ここで取り上げたような「民事訴訟継続中最終警告書」等と称する文書は明らかに架空のものであって、このような文書を送付することは民事上及び刑事上の詐欺行為であると考えるが、政府はいかなる認識を持っているのか。

二 政府は、このような架空の文書の作成及び送付(以下「架空文書送付等」という。)及びそれに伴う被害の実態を、どのように把握しているのか。把握している文書送付累計数、被害件数及び被害金額を明らかにされたい。

三 政府は、架空文書送付等の実態を把握した上で、いかなる対処を行ってきたのか、具体的に示されたい。

四 関係省庁は連絡を密にとり、架空文書送付等について徹底した取締りを行うべきと考えるが、いかがか。

五 架空文書送付等が横行している現状を踏まえれば、更に政府自らが国民全体に注意を喚起する措置を採るべきと考えるが、いかがか。

六 架空文書送付等に対して現行法のもとで十分な対応ができないのであれば、必要な法整備を行い可及的速やかな対処が行えるようにすべきであると考えるが、いかがか。

  右質問する。