質問主意書

第163回国会(特別会)

答弁書


答弁書第二三号

内閣参質一六三第二三号
  平成十七年十一月十一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員山本孝史君提出年金・健康保険福祉施設の整理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本孝史君提出年金・健康保険福祉施設の整理に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの「整理合理化対象施設(平成十六年四月一日現在)」とされた三百十八施設の施設類型、施設名及び所在都道府県名については、平成十七年三月三十一日に厚生労働省及び社会保険庁が取りまとめた年金・健康保険福祉施設(病院を除く)に係る整理合理化計画において公表している。
 また、その中で独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(以下「機構」という。)設立時に出資しなかった施設は、次のとおりである。
 一 機構設立前に国において売却したため出資しなかった、運営委託先を財団法人厚生年金事業振興団とする厚生年金福島おおとり荘及び岩手厚生年金健康福祉センターサンピア金ヶ崎、運営委託先を財団法人社会保険健康事業財団とする今治社会保険健康センター、運営委託先を財団法人岩手県社会保険協会とする岩手健康保険保養所ホールサムインつなぎ、運営委託先を財団法人滋賀県社会保険協会とする政府管掌健康保険滋賀保健福祉センター、運営委託先を財団法人山口県社会保険協会とする政府管掌健康保険保養所ホールサムインやまぐち及び山口保健福祉センターヘルシーパルとくやま並びに運営委託先を財団法人大分県社会保険協会とする政府管掌健康保険大分保健福祉センターヘルシーパル別府である。
 二 施設の土地と施設の隣接地との境界を確定処理中であるため出資しなかった、運営委託先を財団法人厚生年金事業振興団とする厚生年金ハートピア鎌倉、東京厚生年金スポーツセンター及び湯河原厚生年金保養ホーム、運営委託先を財団法人茨城県社会保険協会とする社会保険いばらき健康管理センター並びに運営委託先を財団法人東京社会保険協会とするとうきょう社会保険センター八王子、健康保険保養所(健康増進所)二子玉川園スポーツセンター及び社会保険八王子健康管理センターである。
 三 社会保険事務所等と一体的に建設した施設であるため社会保険事務所等の移転後に出資することとした、運営委託先を財団法人厚生年金事業振興団とする健康文化センター青森厚生年金会館、運営委託先を社団法人全国社会保険協会連合会とする淀川健康管理センター、運営委託先を財団法人社会保険健康事業財団とする社会保険神戸健康づくりセンター、運営委託先を財団法人東京社会保険協会とする社会保険鶯谷診療所及び運営委託先を財団法人兵庫県社会保険協会とするひょうご社会保険センターである。
 四 借地上に設置した施設であって施設を解体の上、土地を所有者に返還することとしたため出資しなかった、運営委託先を財団法人厚生年金事業振興団とする厚生年金姫路鷺山荘、厚生年金岡山吉備荘、厚生年金広島和光荘及び厚生年金高松香風荘並びに運営委託先を財団法人栃木県社会保険協会とする政府管掌健康保険保養所レークイン日光である。
 五 社会保険事務所と一体的に建設した施設であり、施設廃止後に社会保険事務所等として活用することとしたため出資しなかった、運営委託先を財団法人社会保険健康事業財団とする中央社会保険健康センター及び藤沢社会保険健康センターである。
 六 終身利用を前提とした施設であり、譲渡の在り方について検討中であるため出資しなかった、運営委託先を財団法人厚生年金事業振興団とする厚生年金サンテール千葉である。
 七 施設を新潟県中越地震の被災者に対する避難場所として提供しているため出資しなかった、運営委託先を財団法人新潟県国民年金福祉協会とする国民年金健康保養センターこしじである。
 八 施設の重油タンクから重油が流出する事故の処理が完了していなかったため出資しなかった、運営委託先を財団法人熊本県国民年金福祉協会とする国民年金健康保養センターブルーマリンあしきたである。

一の2について

 機構設立時である平成十七年十月に出資しなかった年金・健康保険福祉施設についても、機構が解散するまでの間に例外なく譲渡又は廃止することとしている。

二の1について

 年金・健康保険福祉施設の譲渡に当たっては、特段の譲渡条件を付さない一般競争入札によることを原則としているが、第百六十二回国会における「独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案」(以下「機構法案」という。)に係る審議を踏まえ、厚生労働大臣が平成十七年十月に策定した独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構中期目標(以下「中期目標」という。)に掲げる「同一都道府県内に代替施設がないことからその中心的な機能を維持することが必要な施設」(以下「機能維持が必要な施設」という。)については、当該施設が持つ文化的価値等にかんがみ、地方公共団体等からの強い要望も考慮し、一定期間施設の中心的な機能を維持することを譲渡条件として一般競争入札に付すこととしたものである。
 お尋ねの北海道厚生年金会館については、北海道の文化の拠点として、オーケストラピットを有する大ホール(二千席以上)の機能を持つ北海道唯一の施設、また、香川厚生年金健康福祉センターサンピアさぬきについては、スケートリンク施設の機能を持つ香川県唯一の施設として、機能維持が必要な施設に該当したものである。

二の2について

 お尋ねの要望の内容については、施設の存続に関する要望であり、北海道厚生年金会館については、平成十七年五月十日から八月四日までの間に、年金受給者等の団体、地元経済界、地方公共団体の議会及び執行機関から合計六件、香川厚生年金健康福祉センターサンピアさぬきについては、平成十七年七月二十七日に、地元住民団体、地方公共団体の議会及び執行機関から合計三件の要望が、地方社会保険事務局を経由し、又は、直接、厚生労働大臣等に寄せられている。

二の3について

 同一都道府県内に代替施設がないことから、その中心的な機能を維持することを譲渡条件とするよう要望された年金・健康保険福祉施設はない。

二の4について

 お尋ねの期間については、政府として、具体的な期間を想定しているものではなく、個々の年金・健康保険福祉施設の機能等を総合的に勘案して決定すべきものであると考えており、今後、機構において、具体的な期間を決定するものと承知している。

二の5について

 譲渡価格は、買受者が年金・健康保険福祉施設をどう評価するかによって決定されるものであり、一定の譲渡条件を付すことにより、譲渡価格が大幅に下落するとは一概に言えないものである。

二の6について

 お尋ねの落札者については、一般競争入札により最高の価格をもって申込みをした者とすることになると承知している。

二の7について

 機構による年金・健康保険福祉施設の譲渡条件のうち、機能維持が必要な施設の取扱いについては、厚生労働省独立行政法人評価委員会年金部会において、中期目標及び独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構中期計画(以下「中期計画」という。)に係る議論の中で適正に審議が行われたところであるが、特段の意見はなく、了解を得たものである。

三の1について

 機構においては、出資された年金・健康保険福祉施設を対象に、平成十七年十一月から各施設が所在する地域の地方公共団体の意見を聴くと承知している。

三の2について

 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法(平成十七年法律第七十一号)成立後から機構設立までの間において、あおもり社会保険センター、健康保険保養所(健康増進所)ホールサムインあさむし及び長崎保健福祉センターの廃止について、当該施設が所在する地域の地方公共団体と相談等を行っている。その際、各地方公共団体から、あおもり社会保険センター及び健康保険保養所(健康増進所)ホールサムインあさむしに関する存続要望はなく、長崎保健福祉センターに関する存続要望はあった。

三の3について

 中期目標に掲げる機能維持が必要な施設については、中期目標の策定に至る段階において地方公共団体等から要望があった施設について確認したところであり、現時点においては、中期目標の別表に掲げる施設を追加することは考えていない。

四の1について

 お尋ねの外部の有識者からなる機関については、機構において平成十七年十月一日に「譲渡業務諮問委員会」(以下「諮問委員会」という。)を設置していると承知している。
 また、諮問委員会の構成員の所属機関名及び氏名は、松田昇法律事務所の松田昇氏、株式会社ゴールドクレストの安川秀俊氏及び一橋大学大学院の安田隆二氏であると承知している。

四の2から4までについて

 中期目標に掲げる機能維持が必要な施設については、諮問委員会の意見は聴取していないが、第百六十二回国会における機構法案に係る審議を踏まえて検討し、厚生労働省独立行政法人評価委員会年金部会の審議を経た上で、機構が達成すべき業務運営に関する中期目標として適切に定めたものであると考えている。

五の1について

 現在、日本郵政公社においては、宮城県仙台市及び岡山県岡山市に設置している郵便貯金会館の運営に係る業務について、その委託を受ける者の公募を行っていると承知している。

五の2及び3について

 年金・健康保険福祉施設については、近年の年金制度等を取り巻く厳しい財政状況、施設を取り巻く社会環境及び国民のニーズの変化等を踏まえ、例外なく廃止又は譲渡を進め、年金給付等に充てることのできる財源とすること等によって、年金財政等に資することとしているものであり、施設運営の効率化の観点から行われた郵便貯金会館の運営に係る業務の委託を受ける者の選定方法の見直しとは目的が異なるものである。
 また、整理合理化の対象とされた年金・健康保険福祉施設の運営については、中期目標及び中期計画において、「施設が譲渡又は廃止されるまでの間の施設運営については、公益法人等への委託により行う」こととしており、公益法人以外に委託することを排除していない。